第9章 ふたりぼっちのスタート
『逢坂さん、どうしたらこれを回避出来るんでしょう···』
困り果てて助けを求めれば、逢坂さんも困惑したまま黙ってしまった。
これって、私が腹を括るべき?!
でも、どっちに関して括るべき?!
四葉さんが私にってのは、よく考えてみればご褒美とは違う。
ってことは、私が四葉さんに?
···それならまだ、多少の覚悟と納得は出来るよね?
『じゃあ、私が頑張ります···』
壮「愛聖さん?!」
『大丈夫!ちょっと、コケたと思えばなんともないから。それじゃ四葉さん、ちょっとだけ、ほっぺ···し、失礼します』
環「ん、いいよ。はい」
ゆっくり四葉さんに近付きながら、こっそり息を止める。
四葉さんの頬までの距離が少しずつ縮まり、そして···ゼロ距離に。
『これでいい···ですかね···?』
環「おーっ、やったぜ。マリーからキス貰った」
満足気に喜びを見せる四葉さんと、微妙な顔をした逢坂さんが対照的で···つい···
『次は逢坂さんの番です』
壮「え···僕は別に···」
『あ、違いますよ?逢坂さんが四葉さんにではなくて、私が逢坂さんにです』
環「そーちゃんがズリぃ!なんもしてねーのに、マリーからご褒美とか!」
言うと思ったけどね。
『ご褒美って言うより、なんて言うか···公平にというか···日頃のお疲れ様的な?』
普段から逢坂さんは、四葉さんを宥める係みたいになってるし。
これからは2人が一緒にいる時間も増える。
だからと言うわけじゃないけど···
『それじゃ、覚悟はいいですか?あれ、覚悟ってのも何だかおかしな感じですけど』
壮「覚悟···じゃあ、せっかくの申し出だから···お願いします」
まだ何もしてないのに目が泳いでいる逢坂さんをクスリと笑いながら、四葉さんと同じように頬に唇を寄せた。
壮「こんな経験なかったから、凄くドキドキしちゃったよ」
アハハ···それは私もですよ。
壮「な、なんだか緊張して喉が乾いちゃったよね?僕、ちょっとお茶入れてくる」
それなら私も手伝う···と言う暇もなく、逢坂さんがスっと立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
なんか今ので、凄く体に力が入って···疲れた···
ハァ···と大きなため息を吐いて、ミニテーブルにパタンと突っ伏した。