第9章 ふたりぼっちのスタート
環「Re:valeに泣かされてたの?」
『Re:valeって言うか、正確には千に、かな』
環「なんで?今は仲良しなんだろ?」
仲良しなのはむかしも変わらないけどね?と返しながら、その頃の千はねぇ···と思い出話をする。
万理は間違ってる場所をちゃんと指摘した上で、数学なら解き方とか、英語なら文法の使い方とかを的確にわかりやすく説明したくれたけど。
千は···
千「違う。ここ、さっきも間違えてた」
『さっきもって···さっきと今は答え違うけど?』
千「ハァ···バカなの?答えが違うのは当然。使ってる公式が違うから解き方自体が別物。でも、どっちにしても間違いは間違い」
『じゃあどうすればちゃんと解けるの?』
千「それを教えたら、バカが直らないから自分で考えたら?僕はそれを見守っててあげる」
『バカバカって言わないでよ!ゆっきーの意地悪!』
千「だってバカでしょ?それから、その呼び方はやめろって何度言ったら分かるんだよ」
『と、まぁ···こんな感じの教え方だったし』
いま思えば、あの教え方で私がよく着いていけたよって過去の自分を褒めちゃうよ。
環「ゆっきーって呼んでたのか···なんか面白いな」
『今度Re:valeに会うことがあったら、千のことをそう呼んでみたら?きっと眉をひそめて困惑しながらやめろって···あ、四葉さんだったら許されるかも?』
環「おー、じゃあ会ったら呼んでみる」
逢「環くんはまた···Re:valeは大先輩なんだから、ちゃんとしないとダメだよ?そもそも愛聖さんだって大先輩だって言うのに、環くんはマリーとか呼んでしまっているんだから」
真面目な逢坂さんが、これから先いろいろな場面で気苦労するんだろうなぁ。
自由奔放な四葉さんと、真面目を描いたような逢坂さん。
正反対なようで、どことなく引き合う部分があるのかも知れないけど。
2人が先にデビューするんだから、その辺は上手く立ち回って行けるといいんだけど。
あのRe:valeでさえ、最初の頃は歯車が合わないことがあったんだし。
この2人が最初から上手く足並みを揃えられるとは思えないから。
今でこそ、こんな感じだし···ね。
『そう言えば、千は確かにスパルタだったけど。でもね、ちゃんと頑張れた時はご褒美くれたりしたよ?』