第9章 ふたりぼっちのスタート
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
これも···なんかイメージと違うな···
龍「楽、さっきからずっと何を真剣に見てるんだ?」
天「ボクが教えてあげるよ、龍。楽はね、どういう訳かフレグランスやコスメのページと睨めっこしてるんだよ」
龍「へぇ···そう言えば楽の家にはそういうのいろいろ揃ってるよな」
天「そうだね。でも明らかに···自分用じゃないページだけど」
···なんでバレてんだよ。
龍「自分用じゃないって、じゃあ···誰かにプレゼントか?」
天「そうなんじゃない?ボクには贈り先が誰なのかだいたい予想はつくけどね」
龍「えっ、誰?」
「うるさい···ほっとけよ」
見ていたサイトを閉じて、スマホをジャケットの内ポケットに放り込む。
コイツらといる時に見るんじゃなかった。
そんな後悔も、まぁ、今更だけどな。
天「とりあえずアドバイスはしておくけど、楽が選んでたルージュのカラーは愛聖には強すぎると思うけど?それから、売り手がイチオシとか売れ筋って言ってても、安易にそれを選ぶのは間違ってる」
···。
龍「楽がプレゼントしたかった相手は愛聖だったのか」
「ノーコメントだ。俺がいつ誰に何を贈ろうが関係ないだろ」
クソッ···天のヤツ、ことごとく俺の選択肢を潰してくれやがって。
また振り出しに戻ったじゃないか。
···似合うと思ったんだけどな、あのピンクのルージュ。
ミューフェスの時、似たような色のルージュをひいていて結構そんな色も似合うんだな···なんて思ったから。
天「楽はいい男だと思うけど、誰かに何かを贈るなら、その意味もちゃんと考えてから品物を選んだ方がいいんじゃない?」
「どういう意味だよ」
天「さぁね?そこまでは教えてあげない」
雑誌から目を話さずに言う天に軽くイラッとしながらも、スマホを出して検索を掛けてみる。
···危ねぇ、ルージュを贈るにはそういう意味があったのか。
少しずつ返して欲しい、とか。
それってつまり···だよな。
·········。
そんなやり取りのシーンを思い浮かべ、軽く頭を振り遠ざける。
絶対、怒るだろ。
待てよ···そういう雰囲気な時なら、もしくは···
天「楽。何を想像してるか予想つくけど、そのニヤケ顔は気持ち悪いから」