• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第8章 新たな一歩へ


静かに閉められるドアを見ながら、大神さんはまるで母親のようだとクスリと笑う。

『···?一織さん···』

自分が笑ったせいで振り返った佐伯さんが、そこに佇む私を見て瞬きを見せた。

「お帰りなさい、佐伯さん」

ごく自然に、普段と変わりなく声をかけると、どこかホッとしたような表情を見せながらシューズボックスへと靴をしまう。

『あの、一織さん···えっと···』

慎重に言葉を探す様子から、きっと今日の事についてなにか言いたいんだろうと予測がつく。

「佐伯さんにもご心配をおかけしました。もう···大丈夫ですから」

『でもまだ、一織さんらしい毒がないみたいですけど』

ど···

「私らしい毒ってなんですか?私は至って普通です···それとも私に、二階堂さんみたいなイジワルを望んでいるのですか?」

『そうじゃなくて』

「ではなんです?六弥さんのような甘々なスキンシップがいいんですか?それとも、大神さんの方がいいですか??」

『万理みたいな···う~ん···?』

普段から大神さんは、佐伯さんの甘えどころである事は···誰でも暗黙の了解で。

それを真似しようとは思いませんが、つい···引き合いに大神さんの名前を出してしまった。

私らしくもない···そう思った時。

『じゃあ···せっかくなんで、万理スタイルで』

「は?あ、ちょっと?!」

フワリと漂う甘い香りと、小さな衝撃に動揺する。

「あなたバカなんですか?!急になにを!」

『だって、一織さんが言ったんですよ?ナギさんか万理か選べって。だから、馴染みのある万理スタイルを選んだんですよ?』

だからって、そう簡単に異性に抱き着くなんて普通はしませんよ!

···六弥さんくらいです!

『あれ?もしかして一織さん、お風呂上がりですか?···いい匂いがします』

私の胸元に顔をつけ、スンッと息を吸う佐伯さんに、更に動揺する。

「なにしてるんですか?!···かっ、嗅がないで下さい!」

『いま思ったんですけど、みなさんってそれぞれ使ってるシャンプーとか違うんですね···あ、だからバスルームのラックがいっぱいなんだ···納得』

それぞれに好みが違うから、多人数で生活する上でそれは仕方のないことでしょうけど。

それを言うなら···










/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp