第8章 新たな一歩へ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
小「お帰り、みんな」
一織を連れ戻し、誰もが必要なこと以外を話すことなく帰り支度をして事務所に戻った。
社長も一織の事に関しては特になにも言わず、ただ、いつもの様にオレたちを待っていてくれた。
環や壮五の引き抜き話から始まって、オレたち全員が名が売れたら、晴れて7人揃ってデビューを約束してくれてたのに···そのチャンスも遠ざかってしまって。
せっかく、愛聖だって局内での事をいろいろと教えてくれたりしてたのに。
「そう言えば、愛聖は?確か一緒に帰るんじゃなかったか?」
ふと立ち止まり、マネージャーを振り返る。
紡「愛聖さんですか?···あ···あぁーっ!!ど、どうしましょう皆さん!!愛聖さんを連れて帰ってくるの···忘れてしまいました···」
「「 はぁっ?! 」」
大「マジかよ···今頃もしかしたら楽屋で連絡来るの待ってるかもだぞ?」
小「確か最後の衣装は着物だったから、まだ着替えてるかも知れない···もしそうなら今から僕が急いで迎えに行くよ?!」
紡「すみません···すみません!!」
一「とにかく、なにより先に佐伯さんへ連絡したらどうですか?」
壮「そうだね、それがまず1番最初にやらなければならないことだよ」
おいおい···さすがに人間1人を忘れて帰るとかないだろ···
っていうオレも、今の今までまったく気が付かなかったんだけどな。
万「あの···お取り込み中にすみませんが···社長にお電話が···」
神妙な顔をした万理さんがドアを開け、そっと社長に声を掛ける。
小「僕に?あ、もしかして愛聖さんからかな?」
万「それがその···八乙女プロダクションの、社長からです···」
小「八乙女から?こんな時間に彼から電話が来るなんて、一体どんな用事だろう。わかった、そっちで取るよ」
八乙女社長って、愛聖が前にいた事務所の社長だよな?
もしかして···環と壮五の引き抜きに失敗したから、愛聖を返せとか言うんじゃ···
そんな事より、いまは愛聖に連絡しなきゃだな!