第8章 新たな一歩へ
『千さんの投げたキスが、百くんと下岡さんを含めて取り合いになってますけど、老若男女問わずRe:valeは大人気ですね!』
千「フフッ···妬ける?」
······はぃ?
予想外の答えに、ほんの少しだけ瞬きの回数が増えてしまう。
『そ、そうですねぇ···そう仰られますと、先程オシャレなラウンジで···なんて言ってた下岡さんが参戦してしまわれたことにはびっくりです』
千「···それだけ?」
『はい、それだけです。だって寂しいじゃないですか、つい数分前まで口説くぞ~って笑ってた方が···あんなに楽しそうにしてるので』
またMCステージの際で百ちゃん達と楽しそうにしてる下岡さんを見て、笑う。
千「じゃあ···僕たちは僕たちで、楽しく逃げちゃおうか?」
さり気なく私の手を取って千の胸元へと運んでいく。
『ちょっと、千?全国ネットで遊ぶのやめてよ』
マイクを下ろして小声で言えば、千は千でマイクを遠ざけゆっくりと瞬きをした。
千「愛聖。この手、痛みが来てるなら···無理に下に下ろさない方がいい。なるべく胸より高い位置にすれば多少は和らぐ」
『え···』
千···気付いてたんだ···
出番の前に鎮痛剤を飲まなきゃって思ってたけど、ちょっとバタついちゃって薬飲み忘れて。
TRIGGERの辺りからズキズキと痛み出して、ずっと笑顔を表に出して···ガマンしてたのに。
千「愛聖の事は、お見通し」
パッと手を離してマイクを持ち直し、千が微笑みを浮かべなから百ちゃんを見た。
千「モモ?僕を1人にして···浮気してもいいの?」
その一言でまた客席が騒ぎ出し、百ちゃんもそれに乗っかって駆け戻る。
百「浮気?!それはヤダヤダ!ダーリンごめん!···寂しかった?」
千「···そうね、とっても。だけど母さん?子供の前だから」
言いながら千が私を見て、その視線に重ねるように百ちゃんまでが私を見る。
『え?えっ?!私のことですか?』
「「 転んでケガするのはお子様! 」」
ちょっ···全国ネットでいうかな?!
なんだか、普段と変わらない光景を見ている気がするのは、私だけ?
下「あっははは!大丈夫だって佐伯ちゃん!ちゃんとオトナなのは知ってるから···だから今度ゆっくり···」
「「 それはダメ! 」」