第8章 新たな一歩へ
登場口から、元気一杯に飛び出してくる百ちゃんと。
その後から、優雅に1段ずつ降りてくる千と。
その2人の姿を見て、更に観客席の温度が急上昇して行く。
さっきのTRIGGERの時も凄いなぁって思ったけど、Re:valeはRe:valeで···絶対王者と呼ばれてるだけあって、もっと凄い···と、思う。
下「凄いね、この歓声!トークの声なんて掻き消されそうだよ」
百「みんなー!いつも応援してくれてありがとう!!」
百ちゃんが両手を大きく振れば、客席の女性たちもキャーキャーと言っては同じように手を振り返していた。
下「百くんはいつでも元気炸裂だね~。ファンの女の子たちも嬉しそうだ!」
百「オレは元気なのが取り柄だもーん!ニャハハ!あ、でも!ユキのファンの子の方がオレよりずっとずっとたくさんいるんだよ!さっすがオレのダーリン!···ほらユキ、ちゃんとファンの子に挨拶して!」
アハハ···百ちゃん、千のお母さんみたい。
千「···そうね。じゃあ、僕もモモに負けないようなやつ、やるかな?」
百「え?オレより凄いやつ?···って、もしかして?!」
私も下岡さんも、それから百ちゃんも、観客席のみんなも。
いったい千がどんな事をするのかドキドキしながら千を見つめる。
千「いつもRe:valeを応援してくれてありがとう。これからもモモと走り続けるから、よろしくね」
あれ···意外と普通?
千「走り続けて疲れたら、これを補給して?」
···かと思ったら、まさかの千がキスを投げた?!
百「あーっ!!ユキってば、それズルい!」
百ちゃんがそう言うのも当然!
百「オレも受け取る!!」
え、そっち?!
呆気に取られる私の前を百ちゃんが笑いながら駆け出し、下岡さんがじゃあ自分も!と言い出して笑いを呼んだ。
収拾、付かなくなってない?
インカムからはまだステージのスタンバイがオッケーとは連絡来てないし、だったらこれは時間稼ぎにひと口乗っかるべき?
とは言え、気紛れな千のこういった行動に絡んでしまうと、前に移籍会見をした時に千の事をしつこく質問された事を考えたら控えるべきなのかも、とも思うけど。
微笑みを崩さないままでチラリと千を見れば、同じように微笑んだままの千が同時にこちらを見て···視線が絡んだ。