第8章 新たな一歩へ
いまステージにいるグループが終わったら、ここのコーナーの大トリは···Re:vale。
ってことは、あの壁の向こう側には既に千と百ちゃんがスタンバイしてるって事か···
はぁ···
なんだか妙に緊張するなぁ···
って、私が緊張するのも変なんだけどね。
Re:valeのステージは、デビュー前も、デビュー後も、何度も間近で見てるのに。
仕事だって一緒にした事もあるし。
そもそも、プライベートだって···お泊まり会とか、一緒にご飯とかしてるんだから。
でも、私が再出発してから···今日が初めての一緒の仕事。
きっと変な緊張するのはそのせいなのかもね。
下「素敵なステージ、ありがとうございました!···さぁて、このコーナー最後のステージを務めてくれるのは···いよいよ彼らだね佐伯ちゃん!」
満面な笑みを浮かべた下岡さんが、私を見て···ね!とまた声を上げる。
『そうですね下岡さん。この会場の客席でも、今か今かとあの2人を待ってるファンの女性も多いと思います』
下「あれ?ファンの女の子だけ??···佐伯ちゃんは、そこんとこどうなのよ?」
···なぜそう来る?!
『わ、私ですかっ?!もう、ヤダなぁ下岡さん!私には下岡さんがいるのに?』
下「キャー!佐伯ちゃんったらこんな所で愛の告白しちゃうとか!オジサン照れちゃうなぁ!ってことで、今夜お食事でもどう?」
『全国ネットで口説かないで下さい!』
下「あ、いきなりフラれちゃった感じ?」
軽快なテンポでやり取りを交わし、その私たちの会話を聞いて客席が笑いに包まれる。
台本にはないトークではあるけど、そこは下岡さんと私とのコミュニケーションって感じで時間が流れていく。
下「冗談だって!こんな素敵なお嬢さんを仕事の場で口説いたりしないからね?口説くなら···オシャレなラウンジで!」
『はいはい。ご連絡、お待ちしております』
更に続く下岡さんのトークをわざとらしく軽くあしらい、さぁ、お仕事しましょうか!と空気を変える。
下「オジサン本気で口説いちゃうから、覚悟しててね?···それでは皆さんもお待ちかね、Re:valeに登場して頂きましょう!どうぞ!」
下岡さんの言葉に、客席のみんなが一斉に登場口を見る。
Re:valeの姿が見えると黄色い歓声が上がった。