第8章 新たな一歩へ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
ナ「今夜は舞踏会···星空の下で、アナタだけの王子になりマス···Dance with me?」
紡「えっ···わ、私、踊った事なんて···」
マネージャーの手を取り、ナギが言葉を紡いで行くのを···オレたちはボンヤリと眺めていた。
ナギ···こんな時に、何がしたいんだ?
そんな気持ちを浮かべながら、その行く末を見守ってしまう。
ナ「Oh···Sorry。ここにいる音楽家達は気が効かないデス···せっかくのダンスパーティだというのに。Please Music!···oh···返事がない。アナタからもオネダリしてみて?ここにあるMusic boxにこいんはいりません。聞かせてと誰かが言えば何度でも蘇ります。」
···オレが落ち込む度、いつも隣にいた一織。
ナ「月が満ちるように···朝日が昇るように。ワタシたちのハートビート、決して、決して···絶えることはありません」
いくら周りがパーフェクト高校生だと謳っていても、一織はまだ···普通に高校生なんだ。
そしてなにより···オレの弟だ!
ナ「Hey!···そろそろ用意はいいデスカ?」
パチン、とオレたちに向けてウインクをしながらナギが笑う。
「まったく···執事扱いしやがって。いいよ、なんか歌ってやろうぜ?マネージャーのためだ」
大「···だな?1番初めは、マネージャーだけが俺らの観客だった」
そうだったよな···どんな時だって、マネージャーはいつもオレらのファンだって言ってくれてた。
壮「歌おう···バスケの後も、嵐の中でも、ガラガラの客席の中でも、僕たちはいつも歌ってた」
環「それは全然ムダなんかじゃない···カッコ悪くたっていい、オレたちの歌を聞いて欲しいんだ。もっともっと、見て欲しい」
環は、妹を探す為に有名になりたいんだって話してくれた。
もちろん、オレだってゼロみたいなアイドルになりたくて···何度も、何度もオーディション受けては落ちて、それでも今日まで頑張ってきたんだ。
こんな事くらいで、挫けてる場合じゃねぇよな。
失敗して、心が折れた時の気持ちは誰よりもオレ···分かる。
そんな時はいつだって、一織はオレの側にいてくれた。
オレのどれだけあるのか分からない可能性を信じて。
だから、今度はオレが···一織の側にいてやる番だ。