第8章 新たな一歩へ
楽「今のは龍のリップサービスだ」
『えぇ···そうなの?』
龍「アハハ···楽は素直じゃないから」
楽「なんでだよ!」
普段クールにキメ込んでる楽が慌てる姿にでさえ、観客席からキャーキャーと声が上がる。
天「ほら、楽も龍も···仲良く、ね?」
フワリと微笑みながら天が言えば、それはそれでまたキャーキャーと歓声が上がった。
こっちはここでは···天使なんだよなぁ。
天「あぁ、それから佐伯さん?」
『へ?···あ、はい?!』
いつもは愛聖って呼ぶのに、急に佐伯さん?なんて呼ばれて変な返事しちゃったよ!
天「噂の会見の時も似合ってたけど、今日の衣装も···良く似合ってる」
『あ···ありがとうございま···す···』
龍「天に褒められて照れちゃう所もかわいいよな、愛聖は」
···顔が、熱い。
パタパタとわざとらしく顔を扇いで見せて、急にそんなこと言われたらびっくりしちゃうんだからね?と天に笑いかける。
下「ちょっとちょっと?そこだけ違う世界にしないでよ?4人が熱々ラブラブなのは分かったからさ?」
『下岡さん!日本中の女の子が怒り出すようなこと言うのはやめて下さいね?』
下「日本中のTRIGGERファンが怒るとか···想像するだけでゾクゾクしちゃうね~」
ゲラゲラと笑いながら下岡さんは言うけど、そんな事が起きたらホントに怖いから!!
下「それではそうならない為にも、TRIGGERの皆さんにはステージへ上がって頂きましょう!」
インカムからステージの準備が整った事が流れて来て、話の流れがごく当たり前のように下岡さんが進行させる。
『準備が出来たようですね···それではTRIGGERの皆さん、お願いします!』
売り出し中の曲のイントロが流れ出すと、それを合図に観客席がわぁっと盛り上がって行く。
やっぱり、TRIGGERって凄い。
まだ曲の出だしだけだって言うのに、これだけのお客さん達の熱を一瞬で上げて行くんだから。
歓声でTRIGGERの歌声が聞こえなくなってしまうそうな盛り上がりの中で、私も下岡さんもステージを見つめ続ける。
歌もダンスも最高級な天と、七瀬さんが双子の兄弟だと三月さんは言っていた。
それを踏まえながら改めて天を見れば、確かに···どことなく似ている気がした。