第8章 新たな一歩へ
アイドリッシュセブンがステージから捌けたあと、他のグループの人達や、活動中アイドルたちが順に歌を披露していく。
私は私なりに、下岡さんのアシスタントをこなしながら進行してるけど···
どうしても、みんなの事が頭に浮かんでしまって···CMの間に何度も深呼吸をした。
今頃みんな···ダメダメ!
寮に帰ったら会えるんだから、今はちゃんと仕事しなきゃ!
ー CM切り替わります···3···2··· ー
下「さぁ皆さん!心の準備はいいですかぁ?!次はお待ちかねの···誰だか分かるかなぁ?」
『凄い声援ですね···私たちの声がかき消されてしまいそうです』
下岡さんがはぐらかしながら言えば、観客席からはもの凄い声援が巻き起こった。
下「こんな声援、受けてみたいですね~!それでは登場して頂きましょう···TRIGGERです!」
登場口から天を先頭に、楽、龍と続けて姿を現すと、ついさっきまでの声援とはまた違った声が会場を包んでいく。
下「TRIGGERって聞いただけで凄い熱が上がっちゃってるね~!」
天「ありがとうございます。僕たちも、これだけファンの皆さんに応援して頂けると嬉しいです」
普段とは違う、世間一般で囁かれる天使のような笑顔で天が会場へと手を振る。
···これがお仕事用の微笑みだと知ったら、みんなどう思うんだろう。
なんて考えてることがバレたら、自分の身の危険を感じてしまうよ。
だって、天は怒らせると怖いんだから。
今までに経験した、数々の床に正座のお説教を思い出してしまう。
っていうか、年下の天にお説教される私ってどうなのよ···
下「そうだ!TRIGGERと佐伯ちゃんは、元同じプロダクションだよね?」
『えっ?あ、はい、そうですね』
下「今は違うプロダクションだけど、仲良し度は変わらない感じ?それとも火花バチバチ?」
凄いことを軽快ながらも放り込んでくる下岡さんに、TRIGGERも私も、観客席のみんなも笑ってしまう。
『そうですね~、TRIGGERの皆さんは前と変わらず仲良くしてくれてる···と思います』
楽「それは変わらないよな?別に事務所が変わったからっていがみ合う必要ねぇし」
龍「だね。それから、前よりもキレイになった気もするよな?」
『え?!ホントに?!もっと言って!』