第8章 新たな一歩へ
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
千「モモのじゃない···僕の、だから」
百「えーっ!ユキだけ独り占めズルい!」
目の前で繰り広げられるわちゃわちゃを眺めながら、小さく息を吐く。
アイドル活動をしていたら、いつか···こうやって顔を合わせる日が来るとは思ってはいたが···こんなにも早くその日が来るとか。
あの···千が。
この···千になるとはね。
オレの知ってる··· ‘ ユキ ’ とは別人のようだ。
とりあえず、だ。
余計な関心される前に、適度な距離を置いておくとするか。
じゃないと···こっちもいろいろ都合が悪いからな。
いまもまだ相方と突っつき合う姿からスっと視線を外しながら、長居は良くないからとメンバーを促す。
千「ところで、えっと···リーダーの、」
「二階堂です」
千「そうそう、二階堂大和くん」
···このヤロウ、絶対分かっててやってるな?
千「確かアイドリッシュセブンっていうグループは、7人いたんじゃなかった?」
百「だよな?そういやマリーもそう言ってたし」
千「残りのひとりは?もしかして今日という華々しい日に休み?」
長くサラリとした髪を軽く指先で掻き上げながら、怪しげな微笑みをオレに向ける。
「あぁ、すみません。うちのセンターはいま野暮用で」
まさか発作が起きたら大変だから、なんて言えるワケがない。
千「僕の愛聖から聞いた話だと、いつも仲良く7人揃って···とか言ってたけど?」
愛聖のヤツ、どこまでオレたちのことを話してんだか。
百「あっ!また僕のとか言って!マリーはオレのだからねユキ!」
まったく···いちいち僕のだのオレのだの、どんだけかわいがってんだよ。
「それはそれは···オレたちの後輩の愛聖が、いつもお世話になってるそうで?」
軽く反撃を食らわせるように、敢えてオレたちの後輩って所を強調して言ってみるも···
三「やっぱ愛聖って凄いんだな···Re:valeとこんだけ仲良しとか」
ミツのひと言でその反撃も効果を失ってしまう。
千「愛聖は寂しがったりしてない?1人で眠るベッドが広過ぎる、とか」
「はぁっ?!」
百「そうそう!ユキんちに泊まるとオレたち3人でユキのベッドで寝てるしね!仲良く川の字!」