• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第8章 新たな一歩へ


私を探しに来たスタッフさんに呼び止められて慌てて時間を見れば、下岡さんから紹介されて私がステージに出る時間までもうすぐという所まで来ていた。

『ヤッバ!!···すみません私ちょっと急ぎます!···詳しい事はまた後で聞かせてください!』

「急いで下さい佐伯さん!」

スタッフにせっつかれながら私の楽屋までの廊下を走る。

さっき三月さんから聞いた事が本当なら···

天と七瀬さんが兄弟って···でも、名字違うし、複雑な···とか?!

天は自分のことをほとんど話さないし。

でも···七瀬さんにはご両親、いる···よね?

どういう事なんだろう。

楽屋に飛び込み、数人のスタッフさんにお世話になりながら身支度を終えて今度はステージの方に駆け出す。

走る都合でヒールは手に持ち、ここへ来た時のシューズを履いてとにかく急ぐ。

いまは···頭の中をクリアにしなきゃ。

いろいろと聞きたいことがあるけど、全てが終わって寮に帰ってからでも時間はたくさんあるから。

「佐伯さんをお連れしました!」

『遅くなってすみません!宜しくお願いします!』

切れかけている息を無理やり整え、スタッフさんから手渡されたマイクをギュッと握る。

いよいよ、だ。

下岡さんがせっかく声を掛けてくれた仕事を、しっかり果たさないと。

「佐伯さんの準備オッケーです。はい···お願いします。佐伯さん、下岡さんからコールされたらステージへ出て下さい」

『分かりました。ありがとうございます』

袖に準備されているモニターに目を移して進行状況を確認する。

そこには私の出番が来る前のミニゲームが終わって、下岡さんがにこやかに笑いながらマイクを持ち直す様子が映し出されていた。

下「それではここで、今日のアシスタントレディーを呼んじゃいましょう!さぁ、皆さんお待ちかね···話題沸騰中の佐伯 愛聖さんでーす!」

···下岡さん、話題沸騰中って···なんですかね···

モニターの向こうのノリノリな下岡さんに苦笑を漏らしながら、ステージへと体を向ける。

下「では佐伯さん!どうぞ~!」

「佐伯さん、お願いします」

ポンッと背中を押されてそのまま歩き出す。

眩しい位の光に目を細めながら、私はステージへと飛び出した。


/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp