第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 百side ❁❁❁
「ユキ!今そこで下岡さんと会ってさ!」
楽屋のドアを思いっきり開けながら、雑誌を捲るユキに声をかける。
雑誌を読んでるだけなのに、ダーリンイケメン!
千「そこでって、ここはテレビ局なんだから下岡さんの1人や2人くらい珍しくもないだろ」
オレの方を見ることもなく見開いたページから目を離さずに言うユキに、さらに元気に声をかける。
「2人いたら···ちょっと凄いかも。じゃなくて!時間あるって言うから連れて来ちゃった!テヘッ!」
千「···は?!」
さすがにビックリしたユキが顔を上げ、オレとオレの後ろに立つ下岡さんを交互に見た。
下「ど~も~!お邪魔しまーす!」
千「よ···う、こそ?」
「なんで疑問形?!ま、とにかくさ、お茶いれるから入って下さいよ下岡さん!」
グイグイと背中を押して下岡さんを楽屋に入れドアを閉める。
「コーヒー飲みますよね?ユキがすっごく美味しいの入れますから」
千「僕かい···いいけど別に。モモが入れたら色はコーヒーだけど···フフッ···」
え、そこ笑うトコ?!
オレだってコーヒーくらい入れられ···ないや!
前にユキの家でコーヒー入れた時、豆の分量間違えたのか凄い恐ろしい濃さのコーヒーが···
でもユキは眠気覚ましにいいからって飲んでくれたけど、その後しばらく無言だったんだよなぁ。
下「絶対王者の天下のRe:valeにコーヒーをご馳走になるなんて、人生まだまだ捨てたもんじゃないねぇ、ウンウン」
千「大げさですよ、下岡さん。さ、どうぞ?モモの分も入れたから」
ありがとうと言って紙カップを受け取った下岡さんが香りを楽しんでからコーヒーを啜る。
下「う~ん、さすが千くんだね。歌だけじゃなくてコーヒーを入れる才能もあるよ」
千「じゃあ、引退したらカフェでも経営するとしようかな」
「はい!オレそこで働きたい!超絶人気者のカリスマ店員!あ、そしたらマリーも雇おうよ!毎日ハッピーで楽しそう!」
エプロン姿でカウンターの中にいるマリーを想像して、カワイイだろうなぁなんてニヤつく。
千「愛聖が働いたら、店···潰れる」
あ···料理出来ないことを忘れてた。
マリーは···看板娘って事にしよう。
ため息をつくユキの隣で、懲りずに妄想を続けていた。