第7章 予期せぬ出来事
天「どっちかって言ったら、ボクたちの方が時間ないしね···ほら、もう嗅ぎ付けられた」
視線だけで横を見る天につられて同じ方向を見れば、そこには···
姉「ちょっとアンタたち!部屋に戻ったらもぬけの殻だし、そんなトコでなにやってんの!!」
さすが姉鷺さん···この3人を探すのは慣れてるっていうか。
カツカツと靴音を鳴らしながら姉鷺さんがこちらへと歩いて来て、私を見つけて駆け寄ってきた。
姉「愛聖じゃないの!こんな所で会うなんて運命かしら?」
『運命って···』
ギューッと抱きしめられながら笑えば、姉鷺さんは局で会うなんて、仕事は順調なのね?と微笑んだ。
『まだ、ほんの少しずつですけど···私なりの足並みでゆっくりと進んでます』
姉「そう、それは安心したわ。それより、アンタたちはなんでココにいるのしら?あれだけ部屋で待機してなさい!って言ったのに」
龍「あ~それは、その···あ、そうだ!愛聖、こんな駄菓子あったんだけど食べる?こういうの結構
、好きだったじゃん?」
龍が早口で言って私の手を取り、その上にポンっとお菓子を乗せてくれる。
楽「あ、そういや俺も。ほら、喉は大事だろ?」
天「わざとらしい···」
楽「うるさいっての!そういう天は手ぶらだろうが!」
フンッ、と小さく楽が鼻を鳴らせば、天は怪しげに笑いを浮かべる。
天「ボクも取っておきの手土産があるよ。愛聖、ちょっといい?」
『ん、なに?···わっ!!』
天に呼ばれて顔を向ければ、その一瞬の好きに頬に寄せられる···柔らかな感触。
『て、てててててて···天?!』
頬を抑えながら慌てれば、天はシレッとした顔を見せて楽たちを振り返った。
天「手土産が、必ずしも品物だとは限らないでしょ?」
姉「天···アンタねぇ、まぁいいわ。楽と龍で隠されてたのも計算の内なんでしょ?でも次からは気をつけなさい?いくら愛聖が元同じ事務所だと言っても、すっぱ抜かれたりしたら面倒よ?」
天「そんなヘマ、ボクがするワケないでしょ?」
天の言葉に姉鷺さんも、それもそうねと笑ってるけど。
私の突然のドキドキは···どうすればいいの?!
そんな事を思い立ち尽くしながら、姉鷺さんに引っ張られていく3人の後ろ姿を見送っていた。