第7章 予期せぬ出来事
さっきは偶然とはいえ、龍がいるとかビックリしたなぁ···
あ、偶然でもないのか?
私はともかく、TRIGGERはいつでも大忙し!なんだから。
ミュージックフェスタにも出るんだし、打ち合わせとかで局に滞在してるのは当たり前といえばそうだけど。
控え室の場所もそんなに離れてはいないけど、向こうは超売れっ子TRIGGERだから大きめの控え室。
私は個人部屋だし、売れっ子でもなんでもないから普通の控え室だから、こっち側の通路の方だけど···
あれ、ちょっと待って。
龍にケガのことを聞かれて転んで···とか言っちゃったよね、私!
ってことは、もしかして···もしかしなくても!
凄く心配してくれてた龍が楽や天にそれを話してるかもって事だよね?!
楽が知ったら···きっと様子見に来たとか言って顔を出すかも。
更に天に知られたら···芸能人の自覚ないんじゃない?とか辛口コメントを手土産に···とか?
それぞれの姿を想像してしまい、軽く悪寒が走る。
ヤバい···のんびり喉を潤してる場合じゃない。
って言っても、さっきからペットボトルのキャップが開けられなくて、まだ飲んでもないんだけど。
どうせならあの時、ちょっと龍にキャップ開けて貰っとけば良かった。
···とか、言ってる場合でもないよね。
早く帰り支度してここから立ち去らないと···チクチク痛い小言と、ピリッと辛いお説教が届いてしまう。
バタバタと荷物をまとめ、結局開けることのなかったペットボトルを手に持ってドアノブに手を掛けガチャりとドアを開く。
楽「わっ···なんだよ、急に開けんなよ」
···手遅れだった。
開ききったドアの向こうには、楽だけではなく天も龍もいて。
『超売れっ子で大忙しのTRIGGERが、こんな小さな控え室にお越しとは光栄です···』
つい、腰が引けながら小さな悪態をついてみる。
天「まぁ、話は中でゆっくり出来るよね?この後のスケジュール、入ってないんなら」
は、入ってはないけど···ゆっくり話ってのが怖いよ、天···
龍「ケガの事を話したら、楽が様子を見に行くとかって···」
予想通りの展開に、自分で自分の想像力を褒めてしまいたい。
『まだ、少し時間あるから···入る?』
覚悟を決めて、3人を見上げる。
楽「いや、いい。ちょっと顔見に来ただけだし」