第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
愛聖がいま、この局にいるのか···
「龍、愛聖の控え室ってどこだ?」
龍「愛聖の?それなら自販機がある通路の先を曲がった所だって言ってたけど。簡単な打ち合わせだけだから、今日はひとりで来てるとか言ってたよ?」
ひとりで···事務所的にそれはオッケーなのか?
天「ひとりで所属タレントを仕事に来させるとか、向こうの事務所はそこまで人手不足なの?」
龍「そうじゃなくて、勝手知ったる場所だから大丈夫だって愛聖が言ったらしいよ?本来はマネージャー代行として小鳥遊社長が同行するみたいだけど、今日は他にも用事が重なってるから無理な同行は断ったんだって」
アホかアイツ!
いくら今のマネージャー代行が社長だとしても、他にも手が空いてる事務員とか、なんかそういうヤツがいるだろうが。
龍「あ、そうだ。そう言えば愛聖、なんかケガしてたな···転んでちょっと骨折したとか」
「骨折?!」
天「転んでケガするとか、注意力散漫過ぎだね。今度会ったら···フフッ···」
いや、天の説教は長いからやめてくれよ。
「···ちょっと行ってくる」
ソファーから立ち上がり、飲みかけのペットボトルにキャップをした。
龍「行くってどこに?」
天「楽のことだから、どうせ愛聖の控え室に押しかけるんでしょ?···ボクも行く。言いたいことがたくさん出来たから」
龍「じゃあ、オレも行こうかな?」
「なっ···」
龍はさっき会ったばかりだろ!と言おうとしても、妙にマジマジと俺を見る天に阻まれて口を閉ざす。
天「じゃ、行こうか?3人揃って」
龍「そうだ!あ、ちょっと待って···えっと、この辺に入れたんだけど···っと、あったあった。手土産にこの駄菓子を持って行こう、喜ぶかな···」
子供かよ!
いや待て、アイツくだらねぇ菓子とか好きだったよな?
龍から手渡される駄菓子を見て喜ぶ顔が浮かぶ。
その予想図をかき消す様にしながら、自分の鞄からのど飴のスティックを1本取り出しこっそりとポケットに入れた。
天「龍と張り合うとか、楽もまだまだ負けず嫌いのお子様···」
「う···うっせぇな!」
天に一喝してドアを開け、俺たちは控え室を後にした。