第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 龍之介side ❁❁❁
「楽、天!今そこで愛聖に会った」
ミュージックフェスタの打ち合わせの終わりに、2人が飲み物が欲しいって言うからオレが買いに行ったんだけど、まさかその自販機の前で愛聖とバッタリ会うなんて。
天「愛聖だって、一応芸能人なんだから局で見掛けるなんて当然なんじゃない?」
読んでいる雑誌から目を離す事もなく言う天に、買って来たミネラルウォーターを手渡す。
楽「それもそうだな。少しずつ仕事してるみたいだし、同じ局で見掛けるとか普通だろ」
「そうじゃなくてさ···」
楽にもドリンクを渡しながら言えば、じゃあなんだよと楽がオレを見る。
「愛聖もミュージックフェスタ関係の仕事だって言ってたよ」
「「 歌で?! 」」
そう来ると思った···オレもさっき本人から聞いた時、同じリアクションしちゃったからね。
ついさっきの事を思い出しながら、息ぴったりに言う2人を笑った。
楽「アイツの出演枠だと、どこになるんだ?TRIGGERと同じ枠···なワケねぇよな?本業は女優だし」
天「特別枠があるとも打ち合わせでは聞いてないけど、シークレットゲストって事も考えられるんじゃない?本業はそっちかも知れないけど、幾つかタイアップしてた曲も出てたし。ほら、Re:valeとのやつとか?」
楽「じゃあ、Re:valeと一緒に出るのか?!」
天「ボクに聞かれても知らない。直接話をした龍に聞けば?」
楽「だな。で、愛聖はどこの枠で出るって言ってたんだ?」
楽は愛聖のことになると食いつき凄いなぁ。
そんな事を考えながらペットボトルのフタを開けてひと口飲んだ。
楽「龍、勿体ぶってないで早く言えよ」
「分かったって。愛聖は歌では出ないよ···ミスター下岡さんのアシスタントレディーとして番組の最初から最後までステージにいるらしい」
楽「アシスタントレディー?って、MCの隣にずっといるやつか?」
天「それ以外のアシスタントがあるなら、なんだろうね」
天はそうやってつつくのやめろって。
楽「最初から最後までいるなら、俺たちの出番の時もいるって事か。気合い入るよな」
「まぁ、そうじゃなくても楽はいつも全力だろ?」
そう言って笑って、その話はそこで終わると思った。