第7章 予期せぬ出来事
下 ー そう?勿体ないなぁ、千くんはイケメンなのに···実に勿体ない。あ、じゃもしかして百くんだったり? ー
『百ちゃんこそないですよ。百ちゃんは千にゾッコンですから』
普段の仲良しっぷりを見れば分かるでしょ?と加えて言えば、下岡さんもあの夫婦の間には誰も入れないよねぇ~と笑った。
『なので、そういった色艶のある事実はないですから』
下 ー もしあっても、内緒にしておくけど? ー
『下岡さん?』
下 ー うそうそ、冗談だって!じゃ、打ち合わせに戻るから、後で番組スタッフから事務所に確認の連絡が行くと思うから、 その時は宜しくね~ ー
明るくあっけらかんと言われた事に笑ってしまいながら、宜しくお願いしますと言って通話を終えた。
『社長、そういう事みたいです』
小「そうみたいだね。でも驚いたなぁ···愛聖さんがあの人と仲良しだったなんて。人脈広いねぇ」
『人脈というか、私が駆け出しの新人の頃に下岡さんにいろいろご指導頂いてて』
小「それがパンケーキ仲間ってやつ?」
『下岡さんは特別に甘い物がお好きだというわけではないですけど、以前はよくパンケーキ屋さんとかカフェに連れ出して貰いました。あ、社長も今度行ってみませんか?私とでよかったら』
小「ホント?!若い女性とカフェだなんて嬉しいなぁ」
『紡ちゃんがいるじゃないですか···』
彼女は私とそう歳も変わらないし···あ、でも親子となるとまた違うのかな?
私には、そういう感覚はわからないから···
小「紡くんは今、アイドリッシュセブンのみんなに一生懸命だから、父親の僕なんて眼中にないよ」
ひょこっと肩を竦める社長にクスクスと笑って、それなら尚更、お誘いしなければとまた笑った。
『あ、そうだ。社長、少しずつですけどスケジュール埋まりましたね』
小「まだまだ埋めて行こう。愛聖さんが休みが欲しい!って、怒り出す位になるまで売り込むから···覚悟しといてね?」
『スケジュール真っ黒になったらカフェには行けませんね···』
わざとしょんぼりして言えば、社長はそこはオフにするから!と嬉々としていた。
アイドリッシュセブンが出演するテレビ番組、そのアシスタントレディーを私が推薦された。
みんなの頑張りを1番近くで見れる事に、私は胸を弾ませていた。