第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
オレ達の行く末の為に、先にソウとタマを世に出すって、要するに···
「避難代わりに2人をデビューさせるって事か」
小「残った5人も予定通り、準備が出来るまで育てて行くよ」
自分が予想した事を言葉にすれば、社長は普段と変わらない表情でそう言った。
陸「準備って」
小「キミたちも、2人と同じようにみんなに知って貰えれば」
同じようにって言われても、オレ達はまだ名を売れるような立場も力もない。
例えは悪いが、愛聖みたいに過去に何かしらのキャリアでもあれば話は別だ。
何かいい考えはないだろうか。
この場を突破出来るような、なにか。
チラリと愛聖を見れば、その当人は顔色悪く···俯いている。
きっと社長の話を聞いて自分が元いた所の社長がまさかここに引き抜きを仕掛けて来た事に動揺してんだろう。
壮「他に方法はないんですか?僕は嫌です···こんな風に仲間と離れるなんて」
いつもなら大概の事は何も言わずに黙って受け入れてしまうソウが社長に食い下がる。
陸「壮五さん···」
小「辛いだろうが堪えてくれ。数年後には7人で組める日も来るかも知れない」
環「···数年後」
三「そんなに···」
野外ライヴに至るまで、オレ達はたくさんの時間を費やして来た。
それをいま、グループを分断して更に···ってのは、オレもちょっと納得は薄い。
と、なれば···今出来ることは、1つだな。
「分かった。だけどその前に、1度だけチャンスをくれ。社長が望む知名度にオレ達が到達出来たら、最初から7人でデビューさせて欲しい」
一「つまり短期間で、我々5人の知名度も上げなければならない、と」
三「そんなん出来んのかよ!」
自分がかなりの無茶を提案してる自覚はある。
けど、今この状態を突破するには、多少のリスクは必要だ。
何もしないでいるよりは、これから先の未来を掴むためには、自分達で状況を変えるしかない。
けど、方法がまだ考え付かない。
何か、どんな小さなチャンスでもいい。
そう頭を悩ませているとき、社長室のドアがノックされ、万理さんが飛び込んで来た。
万「社長、大変です!あ、あれ、みんなは···」
小「どうしたんだ、万理くん」
万「アイドリッシュセブンに、ミュージックフェスタの出演依頼が来ました」