第7章 予期せぬ出来事
『岡崎事務所···って、Re:valeのですか?』
千や百ちゃんからの用事なら、直接本人達から私に連絡してくるのに、どうして事務所経由で?
小「Re:valeのマネージャーをしてる岡崎さんからだったんだけど、愛聖さんのスケジュールで空いてる日はないか?って」
『私の?とは言われましても、真っ白ですけど』
フフッと笑って、これからは真っ黒になるかもですけど?と付け加えて見る。
『それで岡崎さんは、どうして私のスケジュール都合を?』
小「愛聖さん、千くんと約束してるんだって?」
『約束···あっ···すみません!本当にそれが果たせるのかまだ分からなかったから···黙っていてすみませんでした』
お互いに所属する事務所が違うんだから、本来は当人同士が約束···なんて、御法度なのに。
小「気にしなくていいよ?スケジュールが既に真っ黒だったら、僕もちょっと困っちゃうけど。でも今は、僕の手腕が今ひとつ及ばなくてスケジュールの都合はつけ放題!って感じだからね」
『そんな事ありません!私がもっと自分を売り込まなきゃいけないのに···社長だって忙しいのに···』
いまは私のことより、アイドリッシュセブンをどんどん育てて欲しいと···思うし。
小「愛聖さんが何を言いたいのかは僕にもちゃんと伝わってるよ。だけどね、彼らはまだこの業界について分からないことが多い。だからこそ、キミからも少しずつ教えてやって欲しいんだ。今はまだ八乙女の所にいた頃に比べたら、小さな仕事しか見つけてあげられないけど、ね?」
ポフッときなこの頭を撫でながら、社長が微笑む。
『私に、そんな大事な事を教えてあげられるんでしょうか···』
小「キミだから教えてあげられる事、キミにしか教えてあげられない事はたくさんあるよ」
私だから、私にしか···それがどういう事なのかは私には分からないけど。
いまは万理が言っていたように、社長を信じて、その背中に着いていくって決めたから。
『あ···それで岡崎さんの話ですけど』
小「そうだった、話が逸れてしまったね。愛聖さんが曲を出す為に、Re:valeの千くんがキミのボイストレーニングを直々にしてくれるそうだよ?」
『そう、なんですか···ボイストレーニングを千が···なるほど···えぇっ?!千が?!』