第7章 予期せぬ出来事
逢坂さんがドアを開けて、続けて後から紡ちゃんと私がレッスン場を覗く。
紡「どうしたんですか?!」
壮「まさか···みんなに話したのか?!」
環「謝らなきゃ、と···思って」
四葉さんがみんなに謝る?
それって、いったいどういう意味なんだろう。
壮「バカ!どうして先走るんだ!物事には順序ってものがあるだろう!」
環「だって!そーちゃんの分も俺が謝んなきゃって思って!」
壮「勝手に謝られても困るよ!」
大「おい、ソウ···タマも、本気で抜ける気なのか?」
抜ける気って···えぇっ?!
環「ゴメン···」
壮「違う!」
三「どっちだよ!」
寝耳に水状態の事ばかりに動揺して、隣に立つ紡ちゃんの腕を掴む。
『紡ちゃん···逢坂さんと四葉さんが抜けるって、本当に?!』
紡「いえ、私はそんなに事を社長からも聞いてませんし、違うと思います···」
だ、だよね?
だってあんなにみんなで頑張ってたのに、急に抜けるとか···
一「いいんじゃないですか、抜ければ」
違うと紡ちゃんから聞いてホッとしたのも束の間、一織さんの言葉でまたも動揺してしまう。
一「逢坂さんはともかく、四葉さんはもうアイドリッシュセブンを見限ったという事でしょう?なら私たちも見限りますよ。私たちだって、そんなあなたは必要ない···どうぞ、出て行って下さい」
『一織さん!』
陸「言い過ぎなんだよ、一織!」
ピシャリと言い放つ一織さんに、俯いて何も言わなくなる四葉さんを見比べて、七瀬さんが四葉さんの元へと歩み寄った。
陸「環だって、何か事情があるんだろ?···な?」
ナ「please、タマキ、わけを話してクダサイ」
壮「環くん···あの話もみんなに知って貰った方がいい自分で言えないなら、僕から話してもいいよ?」
こういう時、私はなんて声を掛けたらいいんだろう。
環 ー うっせぇな!離せよ!···マリーは関係ねぇだろ!俺たちより後から来たのに先にデビューもして有名になってんじゃん! ー
さっきの四葉さんの言葉がグルグルと頭の中を巡って、何を言ったらいいのか分からなくなる。
重苦しい空気に飲まれそうになりながら胸に手を当てて、ズキリと痛むその手首に···そっと視線を落とした。