第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「えっ?!分かった、すぐに行くよ」
紡さんからの電話の内容で、他の事務員に言付けをしてみんながいる部屋に向かう。
愛聖が骨折だって?!
いったいどうして···
紡さん自体も何だか動揺してるのか、愛聖がケガをしたこと以外は上手く内容が伝わって来なかった。
この前の熱といい、どうしたっていうんだ···
厄年かアイツは。
「愛聖のケガは?!」
ドアをノックする事もなく開けて中を見れば、ソファーに座らさせた愛聖の隣に腰掛けていた一織くんが俺を振り返った。
『万理···』
「一織くん、どんな感じなの?」
真っ直ぐそこまで進み、片膝をついて一織くんに尋ねる。
一「床に倒れた時に手をついたようで、痛む箇所を少し見ましたが、念の為に冷却と固定をしてます」
そう言う一織くんの手元を見れば、確かに使い捨ての冷却剤で冷やしながら、何か板の様な物の上に手首を固定されていた。
「どうしてこんな事に?」
紡「それが、その···」
大「いいよ、オレが話す。マネージャーからじゃ言いにくいだろうから」
大和くん?
腕を組んで壁に寄りかかっていた大和くんが顔を上げ、事の詳細を出来る限り詳しく話してくれる。
その間、誰もが無言で俯いて、大和くんの話が終わるのを···ただ、聞いていた。
大「···って、感じだな。だから、オレはタマが戻り次第···話をしようと思ってる」
『二階堂さん!だからそれは···』
大「愛聖、タマを庇いたい気持ちはオレだって分かる。けどな、きっかけはどうであれ、おまえさんにケガをさせたかも知れないってのも事実なんだよ」
大和くんは、さすがみんなが決めたリーダーってだけあって、冷静に愛聖を言い聞かせた。
「話は分かったよ。とりあえず環くんの事はみんなに任せて、愛聖は俺と病院へ行こう···分かったね?」
『うん···でも、』
「でも、の続きは車の中でゆっくり聞いてあげるから。さ、行こう?」
その場の事を紡さんや大和くんに頼んで、愛聖に俺のジャケットを肩から羽織らせて連れ出し事務所の中へ戻ると、社長にも病院へ連れて行くという連絡を入れた。