第7章 予期せぬ出来事
社長と万理が出かけて行った後、1度寮に戻って高校生組が帰ってくる迄の間、三月さんや逢坂さんと一緒に買い出しに出た。
街に出ると、やっぱり逢坂さんは先日のライヴ中継の事もあって声を掛け続けられ、そのついでと言った感じで、一緒にいた私も声をかけられ握手や写真、サインまで求められていた。
そんな私と逢坂さんを、三月さんは黙って見守ってくれていた。
三「ホント、お前らって有名人なんだよなぁ···」
寮に着いて買い物した物をしまいながら三月さんが呟いた。
三「やっぱテレビの力って大きいって事だな···」
壮「そんな事ないよ。あの時はハプニングもあって、たまたま中継されるタイミングが僕と環くんだったってだけで···」
三「でも、あんなに声を掛けられるのは···やっぱりちょっと羨ましいよな。愛聖は元々、有名人だけどさ。再デビューしてすぐにTRIGGERとのCMとかやってたし」
『あれは私の力じゃなくて、八乙女社長が···だから、私自身の頑張りでの仕事は、まだひとつもないから』
三「オレも、もっともっと···今よりずっと、頑張らないとだな···」
そう言ったきり、それ以上は三月さんはこの話に触れることはなかった。
3人で···というか、ほぼ三月さんと逢坂さんの2人で夕飯の支度を終える。
私は調理に関しては全くと言っていいほどお役に立てないから、洗い物や使った器具の片付けに回った。
三「おーし、これで夕飯は温め直すだけで食えるな」
壮「今日も一織くんと環くんが学校から帰ったら事務所で話し合いとかレッスンとかあるからね」
レッスンかぁ···私の予定は真っ白だし、歌詞考えるのも行き詰まってるから···
『あの、お邪魔じゃなければレッスン見に行っても?』
三「ん?別にいいんじゃね?なぁ壮五?」
壮「大丈夫だよ。みんなも、愛聖さんがいると元気になるし。特に、環くんやナギくんが」
『やった!じゃあ私、端っこで静かに見学します!』
三「なんだったら参加してもいいぞ?」
『ホントですか?!それなら着替えてこようかな??』
体を動かすなら、今の格好はちょっとムリがあるし。
だって今日···スカートだから。
急いで身支度して来ると言い残して、小走りで部屋へと向かった。