第7章 予期せぬ出来事
『本当に今回の件は、ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。以後、体調管理には死ぬほど気をつけます』
熱を出してから丸5日経ち、処方された薬も飲み切って、三月さんからもう心配ないな!と太鼓判を押された翌日に、私は何より最初に社長の所へ謝りに来た。
小「元気になって良かった。これからは僕もキミのマネージメントをこなしながら、体調面でも気をつけて行くから。あ、そうだ!万理くんには会ったかい?」
『万理ですか?いえ、まだですけど···もしかして相当怒ってた、とか···』
小「違う違う、その逆だよ。万理くんは凄く心配していてね···最初の2日間は暇さえあれば様子を見に行ったり、寮にいる三月くんや大和くん達に電話で様子を聞いたりしてたんだよ」
···だからか。
私が今朝、朝ご飯の時にみんなに心配かけたお詫びやお礼を言って、社長にも直接それをしに行くって言ったら二階堂さんが···
大「万理さんに会ったら、熱い抱擁でもしといた方がいいんじゃね?なぁ···三月?」
三「あぁ~まぁ、そうかもな?ほどほどにならって感じで」
『なんですかそれ?』
大「ま、行けばわかるっつうか?いやぁ、愛し愛される若者達には負けますなぁ···うんうん」
···とか、なんか微妙に引っかかる感じでニヤつきなから二階堂さんが私を何度も見たんだけど。
その理由も、社長の言葉で理解出来た。
っていうか!
私、万理が何度も様子見に来たのとか知らなかったんだけど?!
ちょっと、恥ずかしいかも。
そんなことを考えていると、社長室のドアがノックされ開かれる。
万「社長、そろそろお時間···あれ、愛聖?」
小「ちょうど今、万理くんの事を話してたところだよ」
万「俺の、ですか?」
小「愛聖さんが熱出してた時、万理くんが暇さえあれば様子をって」
万「社長?!それは言っちゃダメなやつですよ···」
アタフタする万理と、ニコニコと笑顔を崩さない社長を見て小さく笑う。
『万理、いろいろ心配かけてごめんなさい。それから、熱い抱擁···いる?』
万「は?なにそれ」
『二階堂さんが、万理に会ったら熱い抱擁しとけって言ってたんだけど。電話とか、したんでしょ?』
クスクスと笑いながら言えば、万理は長く伸ばした前髪を触りながら、参ったな···と呟いた。