第7章 予期せぬ出来事
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
三月くんから愛聖が熱を出してるって連絡があって様子を見に来てみれば···
「39.8℃···」
見るからに熱があるのは分かるけど、状態を確認するのに計らせた体温計を見て顔を顰める。
『万理···多分その体温計、壊れてるんだよ』
「そんな訳ないだろ?···あぁ、そうかそうか。じゃあ、もう1回ちゃんと計ってみようか?」
昔を思い出しながら愛聖の頭を支えてコツンとおでこを付けてみれば、間違いなく···熱い。
『さっきも逢坂さんがそうやって熱があるみたいって言って、びっくりしたよ?···そういうの、万理か千か···母さんだけだったから』
三「壮五が?!あ、ゴメン、つい」
壮五くん···迷いもなくそれをするとか。
ある意味、強者?
微妙な思いを抱えながら紡さんの申し出を受けて、それをお願いする。
これだけ高熱なら、ちゃんと医者に見て貰った方がいいからね。
が、しかし。
愛聖は病院···嫌いだからなぁ。
さて···どうしたものか。
「俺は車の用意をしてくるから、三月くん···その間ここを頼んでもいいかな?」
三「おぅ、いいぜ」
快く返してくれる三月くんにその場を預けて、事務所に寄って車の鍵を取る。
小「万理くん。さっき紡くんから連絡あって馴染みの病院に電話しといたけど···愛聖さん、凄い熱なんだって?」
簡単な身支度をしていると、物音を聞いた社長が事務所に入って来た。
「検温は39.8でした。相当キツイはずなのに我慢しちゃって···と、いうより病院行くの嫌がるだろうなぁって作戦を考えてる所です」
小「しっかりしてそうなのに、医者嫌いとか以外だなぁ···なんで?」
「俺と知り合う前に、予防接種が怖くて暴れたら数人の医者に押さえられて···とか、愛聖の母さんから聞いた事が」
っていうか、看護師ではなくて医者に取り押さえられるとか、どんだけ大暴れしたんだ?
小「なるほど···それはきっと医者が嫌いなんじゃなくて、注射が怖いんだね。僕もこの年になっても注射は嫌だから、愛聖くんの気持ちは痛いほど分かるよ。あ、痛いのは嫌だけどね」
「俺は注射くらい平気ですけど?なんせ、過去には注射どころじゃない事も···ありましたから」
小「···そうだね」