第7章 予期せぬ出来事
『ちょっと待って下さい。えっと、すっごい期待??』
大「さっき言ってただろ?すっごいの期待してます!とかなんとか?」
『あっ···』
どうしよう···言った覚え、あるかも。
大「思い出した?んじゃ、約束は守らないとってことで···盛大なすっごいハグ&キスをお届けするよ」
妙にゴキゲンな二階堂さんが、ニコニコしながら両手を広げて近付いてくる。
普段なら絶対そんな事はしないハズの二階堂さんなのに、おかしなテンションなのはライヴ終了直後だから??
ジワジワと迫り来る二階堂さんに、一定距離を保ちながら後ずさる。
とは言ってもここはステージの端にあるスタッフ待機場所···そう広くはないところで、すぐに後ずさりも壁にストップをかけられてしまう。
大「ほい、捕まえた!っと」
『いぎゃぁ~!!』
ギュッと抱きしめられて反射的になんとも言いがたい叫び声が出てしまう。
大「なんつー色気のない···ま、いいや。んで?ハグはしたから、次は···」
つ、次って!!
『だ、だだだだ···大丈夫です!もう充分ですから!』
腕を伸ばして体を離そうとしても、そこは力の差があるせいか上手く抜け出せない。
大「遠慮すんなって?」
『してません!それにほら!み、みんながいるし、大丈夫ですから、ホント!』
大「みんな、ねぇ···」
チラリとメンバーを振り返り、二階堂さんが私をまじまじと見て怪しげに笑いながら顔を寄せる。
大「じゃあ···みんながいない所で、続き···しちゃう?」
フゥー···っと耳に掛けられる吐息にぞわりと肌が粟立ち、脱力しながら二階堂さんに寄りかかった。
『い、今のでお釣りが出るほど···です。それから耳はやめて下さい···』
大「そう?まだな~んもしてないケド?それに愛聖は耳が弱点か···それより愛聖。なんか体が熱くないか?」
『それはきっと、ライヴでみなさんにドキドキさせられたのと今の二階堂さんので体温が上がったのかも知れません』
大「それにしちゃ、なんか変だぞ?」
『大丈夫です、ホント。だからいい加減に解放して下さいってば···』
ゲンナリ気味にいえば、そこまで拒否ることないだろ?と二階堂さんが笑った。
···いま思えば、あの時から既に熱っぽかったのかも知れない。