第6章 BLESSED RAIN
『今のところはケガ人がいるという情報は出ていません。機材の方は、万理や紡さん達が確認してるんですけど、まだ何も連絡は来てません』
大「分かった、ありがとな。っていうか、愛聖、この雨の中そんな格好でいたのか?ずぶ濡れじゃないか」
『アハハ···ちょっと手違いでスタッフ用のレインコートを持ち忘れてしまって。でも大丈夫です!じゃ、ステージにいるメンバーの現状を社長に報告しますね。何かあったら、私はここにいるので』
大「了解···愛聖、悪いな···その、チケットとか···」
『二階堂さん?今はそんなこと言ってる場合じゃないですよ?それに、ここにいるファンのみんなも同じ条件ですから』
大「···だな。そんじゃ、この礼はライヴが終わったら熱いハグ&キスでもして返すわ」
『ものすっごいの、期待しときますね?』
これじゃまるでナギさんみたい···とか、私も笑ってる場合じゃないよね。
『社長、佐伯です。聞こえますか?』
小 ー 大丈夫、ちゃんと聞こえてるよ。アイドリッシュセブンのメンバーの様子は分かった? ー
『いまステージの端で二階堂さんと話が出来ました。メンバー全員、何事もなく大丈夫だそうです。そちらはどうですか?』
小 ー こっちは万理くんから機材の方はなんとか大丈夫だって報告を受けたよ。それから、あ···もしかして今、環くんがセンターを歩いてる? ー
四葉さんが?
社長に言われてステージを見上げれば、確かに四葉さんがセンターで足を止めたところだった。
『なにが起こるんでしょうか···』
小 ー それは僕にも分からないけど、でも···彼らは逆境に強い。だから、彼らの中でいろいろ考えて動いてるのかも知れないから、もしもの時の為にキミはそこから離れないでいてくれるかな? ー
『分かりました。ここで待機します』
小 ー ありがとう、それからごめんね?本来ならキミはウチに所属するタレントでもあるのに、こんな事を頼んでしまって···キミこそ、ケガとかには気をつけてね?それから、いま紡くんがここを飛び出して行ったから、そっちに向かってると思う。紡くんが到着したら、合流して貰えるとありがたいんだけど ー
この真っ暗で雨が降っている中を、紡さんがここに?
『了解しました。紡さんからも指示を貰います』