第1章 輝きの外側へ
久し振りの柔らかなベッドの感触に微睡みながら、寝返りをうつ。
まだ眠気のある目を擦りながら周りを見回せば。
見知らぬ天井と壁に囲まれていて。
···そっか。
万理と再会した事、あれは夢じゃなかったんだと毛布を手繰り寄せる。
フワフワとした毛布に包まりながら、いま何時なんだろうとスマホを開き、そこに映し出された時間を見て。
···ヤバっ!
いくら何でも私、寝すぎじゃない?!
ガバッと起き上がると、ドアの向こうからは誰かの話す声が聞こえて、きっと早く起きた万理がテレビでも見ているのだろうとベッドから離れる。
私がこんなにも眠り続けたのは、万理が気を使ってくれたからなんだろうな。
だからせめて、万理が仕事に行くのを笑顔で見送らないと。
そう思ってドアを開け、万理に声をかけた。
『万理、おはよう···起こしてくれても良かったのに···』
「えっ?!」
万「え?!このタイミングで起きた?!」
このタイミングって言われても···
そう返そうと顔を上げれば、万理の向こう側に誰かの人影があって。
しまった···来客中だったんだ···と、寝起き姿のまま立ち尽くしてしまった。
会話の途中でいきなりこんな姿の人間が姿を見せれば、それは誰だって驚いてしまう。
「お邪魔してしまったようだね?」
慌てる様子を見せる万理に声をかける人が、チラリと私にも目線を向けた。
···あ···れ?
あの人、どこかで···?
優しそうな微笑みを浮かべている、紳士的な···?
う~ん···思い出せない···
とりあえずこんな姿であまりここにはいない方がいいよね?
まだ幾つかの言葉を交わす万理の背中に申し訳なさを感じて、そっと後ろに下がった、けど。
万「ま、待って下さい社長!誤解です!···とにかく中へどうぞ!」
···社長?!
社長って、あの会社で一番偉い···社長?!
万理が社長って呼ぶって事は、小鳥遊プロダクションの···
あぁっ!!
お、思い出した!!!
私がデビューする時に八乙女社長に連れられてあちこちに挨拶周りした時にテレビ局で会った事あるじゃない!!
あの時はあの時で、八乙女社長が敵意剥き出しの言葉を投げててヒヤヒヤドキドキしたんだよね···
そうだ···あの人は確かに小鳥遊プロダクションの社長さんだ···