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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第6章 BLESSED RAIN


それとも、急に誘いをかけた俺になんて断ろうかと考えてるのか?

沈黙が···長い。

ー 楽?···もしかして、だけど··· ー

やっと言葉を出したと思えば、躊躇いがちな愛聖の声。

ー 夕飯のメニューで困ってるなら、私···あんまり役に立てないかも··· ー

···。

「はぁっ?!」

こいつ···どこをどう勘違いしたらそう言う結論になるんだよ?!

ー あ、だから、ほら!私って料理とか全然ダメだし!寮でもお皿洗いとか、なんかそういうのしかさせて貰った事ないし!···だから、作り方とかそういうのは···そうだ!今からダッシュで寮に戻るから、お料理上手な人に電話代わって貰うね! ー

「はぁっ?!」

ー 1回切るけどまたかけるから待ってて? ー

「ちょっ、待て!切るな!早まるな!!俺はメニューや作り方をお前に相談する為に電話したんじゃねぇよ!」

ー え?そうなの??···じゃあ、用事って? ー

こいつ···マジでその超絶天然な所を矯正してぇ。

「ハァ···だから、俺が言いたいのはだな···飯、一緒にどうかって事だ」

ここまで言わないと伝わらないとか、いったいどんな思考回路してんだよ。

ー えっ···と···? ー

···伝わってないのかよ。

「あぁ、分かった。ハッキリ誘う···俺と今夜の飯を食え。これなら通じるだろ」

俺らしくもない、ただ単語を並べただけの誘い文句。

なんの色気もへったくれもない。

ー 楽と···私が?なんで? ー

「···なんでもだ」

そしていまひとつ分かってない愛聖。

ー 楽、もしかして···ぼっち? ー

「もう···何とでも言ってくれ···」

ー じゃあ、分かった。とりあえず社長に許可を貰うから待ってて?ちょうどまだ社長室の近くにいるから聞いてくる ー

「分かっ···いや、待て。俺が直接話すから電話だけ取り次いでくれ」

愛聖が何を言い出すか分からないから、それなら俺が直接···向こうの社長と話す方がマシだ。

ー 楽が?まぁ、いいけど···じゃあこのままで待ってて? ー

そう言った通話の向こうで、控えめなノックの後に愛聖との話し声が聞こえて。

やがて俺へと電話が取り継がれた。
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