第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
『じゃあ私、まだちょっと社長と打ち合わせがあるから行くね!』
「あ、うん!行ってらっしゃい!」
···はぁ、びっくりした。
愛聖さんから急に抱きしめられてドキドキしちゃったよ···
お仕事モードの愛聖さんて、服装とかメイクとかちゃんとしてて···綺麗だから。
それにちょっと、ふわっといい香りとかしてて。
万「陸くん、ぼんやりしてるけど大丈夫?愛聖になんかされた?」
「あ、いえ···ただ···」
万「ん?」
「愛聖さんって、寮にいる時と仕事の時って雰囲気が全然違うから、ドキドキ···するなぁ、なんて」
万「まぁ···あれでも一応、我社のタレントだからね。あ、陸くん?もしかして愛聖の事···好きになっちゃった?」
オレが?
愛聖さんを?
「オレは愛聖さんの事、好きです。でも、その···れ、恋愛がどうのとかじゃなくて、仲間として応援したいと思うし、オレ達の応援もしてくれてるし···みたいな···」
たまにちょっと天然っぽい感じとか、カワイイなとか思ったりもするけど。
それで一織になんか怒られたりとかして、シュンとしたり、うっすら涙目になってたりすると···それはそれでカワイイ···とか。
あれ、そう言えば···
「そういう万理さんはどうなんです?万理さんは愛聖さんのこと好きですか?」
万「え、俺?」
急にオレが聞けば、万理さんは小さく笑いながらオレを見返した。
万「俺は好きだよ?多分、陸くんに負けてないくらい」
「それって、もしかして」
万「でも残念。俺と愛聖との間には、恋愛感情はないんだよ。仮に···もし俺がそうなりたいと思っても、愛聖は俺の事を隣に住んでた優しくてカッコイイお兄さん、位にしか思ってないしね?」
「自分でカッコイイとか言っちゃいます?!」
万「え、ダメ?だって自分で言わなきゃ誰も言ってくれないし?」
みんな口に出さないだけでカッコイイって思ってると思うんだけど。
万「さぁて、仕事仕事っと!」
あれ?もしかしてオレって今、万理さんに軽くはぐらかされた感じ?
この話をしたら一織にまた何か言われるんだろうなぁ···と思いながら、パソコンと向き合う万理さんを見た。