第6章 BLESSED RAIN
『あの会場でまたライブをするんですか?!···凄い!!』
CM撮影の顔合わせ···という1回目の打ち合わせ終えて社長と事務所に帰ると、早々に七瀬さんが駆け寄って来て教えてくれた。
陸「またお客さんが入らなかったらとか心配な感じはあるけど、それでもオレ嬉しくて愛聖さんが帰って来たらすぐ教えたくて待ってたんだ!」
確かに初めてのライヴはお客さんが9人だったと言うのは万理にも聞いたし、実際、私も動画サイトで見たから知ってる。
でもいまのみんなは路上ライヴもコツコツとやって来たし、まだデビュー前だと言うのにそれぞれに固定のファンもついてるって聞いてるし。
『今度は絶対、あの会場がいっぱいになるくらいお客さん来てくれるんじゃないかな?』
陸「でもあの会場3000人くらい入るって、一織が」
『違うよ七瀬さん。3000人しか入らないんだって!みんな頑張って来たんだし、そのうちもっともっと大きな会場でさえ足りないくらいになれるよ!』
あのRe:valeだって、最初は街外れの小さなライヴハウスからのスタートだった。
なのに今は、どれだけ大きなハコでもチケットは秒殺で売り切れてしまう程の人気になってる。
だから、絶対大丈夫!
まぁ、その元Re:valeのひとりは···ここにいるんだけども。
チラッと万理を見れば、視線を感じたのか万理が振り返る。
万「ん?なに?」
千と百ちゃんのRe:valeよりも先に、万理と千がRe:valeだった···なんてみんなが知ったら、きっと驚くだろうなぁ。
『なんでもな~い。万理には、ナ・イ・シ・ョ!』
万「え~···なんか怪しいなぁ」
『いいの!内緒は内緒なんだから』
それより、開催日程を調べてその日に私がチケット取れるかが問題なんだよね···
社長や万理に言ったらスタッフパスの1枚くらい用意してくれるだろうけど。
それじゃ、ダメだから。
いろんな事情を抱えたままの私を受け入れてくれたみんなに、私なりに少しずつ恩返しがしたい。
それの第1歩として、ちゃんとチケットを取ってお客さんとして会場でみんなを応援したいから。
そうと決まれば早く自分のスケジュールを把握しなきゃ!
『七瀬さん、私も一生懸命に応援するから頑張ってね!』
陸「わぁっ?!」
勢いで七瀬さんを抱き締めて、背中をぽんっと叩いた。