第1章 輝きの外側へ
❁❁❁ 小鳥遊音晴side ❁❁❁
「紡、今朝は万理くんと男同士の語らいをしながら朝ご飯食べるから用意しなくていいよ」
紡「そうなの?まぁ、実は私も結局仕事終わらなくてって感じだったから簡単に済ませて先に事務所行く事にするね?」
気を付けて行くんだよ?とひと声掛けて、散歩がてら万理くんの自宅へと足を運ぶ。
清々しい朝、心地よく吹く風。
たまにはこんな朝があってもいいね、と顔を緩ませながら歩いて行く。
あ、いけない。
万理くんに連絡するのを忘れていたよ。
スーツのポケットからスマホを出して電話をしてみる。
···ん?出ない?
今日は遅出だと言っていたから、もしかしてまだ寝てるのかな?
何度も掛けるのも悪いし、既に万理くんの住むマンションは見えて来ている。
このまま訪ねて行って、慌てる万理くんを見るのも面白いかも知れないな。
いたずら心に駆られてポケットにスマホを入れながら前へ進む。
···さて、着いた。
ドアの前に立ち遠慮なくインターフォンを押すと、待たされる事もなくドアが開けられた。
万「はい···って···えぇっ?!しゃ、社長?!」
「やぁ万理くん。おはよう、いい朝だね」
万「あ、おはようございます社長···じゃなくて!どうされたんですか、社長自ら俺を訪ねてくるとか」
普段のきっちりとしたスーツ姿ではなく、ラフな格好の万理くんも···なかなかだ。
いっそタレントデビューさせてしまおうかと思わせる位のイケメンぶりだな。
「実はさっき電話はしたんだけどね?たまには一緒にモーニングなんてどうだろうと思って」
万「電話?あ···すみません俺、さっきまでシャワーを」
「いいのいいの、気にしないで?それで急な誘いになってしまったけど、どうかな?」
万「あ···えっ、と···」
万理くんが何かを言いかけた時、その後ろに見えるドアが開き人影が現れた。
『万理、おはよう···起こしてくれても良かったのに···』
「えっ?!」
万「え?!このタイミングで起きた?!」
···えぇっ?!ひとり暮らしの万理くんの部屋に女性?!
予想もしていなかった展開に僕とした事が一瞬怯んでしまう。
い、いや、いいんだ。
万理くんだって立派な成人男性だ。
こんな時もあるだろう。
「お邪魔してしまったようだね?」