第5章 ヒカリの中へ
『わぁ!なんかご飯がたくさんある』
寮に戻るとテーブルの上には数々の料理が並べられていて、その種類にも驚いたけど。
『あれ?私の好きな物ばっかり』
ひとつずつ見ていけば、それは私が好きな物ばかりが並べられていて。
陸「愛聖さんの好きな物をたくさん作ったら元気出るんじゃないかなって、万理さんが」
三月さんがご飯をよそったものを七瀬さんが運びながら私を見る。
『万理が作ったの?!』
万「俺だけじゃないよ、三月くんも一緒に」
三「オレは手伝った程度だけどな。万理さんの家事力ハンパねぇし!」
そこはまぁ、確かに。
環「マリーも帰った来たし、もう食っていいだろ?」
壮「環くん、みんなが揃ってからだよ」
環「揃ってんし!座ってないだけだし!」
四葉さん、相当お腹空かせてるんだね···
大「んじゃ、タマが待ち切れなくて暴れ出しそうだし、愛聖も帰って来たってコトで···食べますかね。社長も万理さんもマネージャーも、みんな一緒に···」
「「 いただきます! 」」
『いただきます』
いつものテーブル席に補助イスを加えて、みんなで囲む食卓はとても賑やかで、そんな風景を眺めているだけでもお腹いっぱいになりそうで。
一「どうぞ、佐伯さん」
隣に座っている一織さんが、私の前に幾つかの小皿に取り分けたおかずを置いた。
『ありがとうございます、一織さん』
一「のんびり眺めていたら、大神さんがせっかくあなたの為にと作った料理が四葉さんに食べ尽くされてしまいますから」
フッ···と笑う一織さんの目線を追えば、四葉さんがモリモリとご飯を食べていて···
三「環、落ち着いて食えっての!」
壮「そうだよ環くん。ちゃんとよく噛んで食べないと消化に悪いから」
···お兄さん組に世話を焼かれていた。
一「四葉さんに圧倒されていると、食べ損ねますよ?」
『···ですね。私も頑張って食べることにします』
そう言って煮物をひとつ箸でつまみ、口に入れる。
···あれ?
なんかいつもの万理の味付けとは···違う?
気のせいかな?と思いながらも、またひとつ口に入れる。
やっぱり違う。
他の物も口に入れては味を確かめながら喉を通していく。
これは···万理の味付けじゃない。
これって···