第1章 輝きの外側へ
❁❁❁ 千side ❁❁❁
龍「すみません、あまり役に立てなくて」
百「それはオレ達も同じだから気にしなくていいよ。ね、ユキ?」
「···そうね」
仕事の合間に愛聖の事を調べていた彼らが、情報が掴み取れなくて···と肩を落とす。
本当にどこに行ったんだよ、愛聖。
万も、愛聖も···どうして僕に黙っていなくなってしまうんだ。
悲しさや寂しさの他に、苛立ちさえ湧き上がってしまう。
百「八乙女パパはさ。マリーが行くとこないって知ってて追い出したのかな?」
楽「さぁな」
愛聖は小さい頃に父親を亡くしてる。
母親だって、少し前に病に倒れて逝ってしまった。
事務所の社長が、それを知らない訳がない。
なら、どうして?
天「楽···これはあくまで僕の思う事だけど愛聖は本当にクビにされたの?」
「どうしてそう思う?」
天「ちょっと、これを見て欲しいんだけど」
そう行って僕達にスマホの画面を向けた。
天「八乙女プロダクションに所属するタレントの宣材写真。ほら、ここにまだ愛聖のがある」
見せられた画面には、カメラ目線で微笑む愛聖の写真と、ドラマや映画の代表作や事務所からのコメント等が書かれていた。
百「マリー、スッゲーかわいいじゃん!超タイプ!」
「モモ、僕と言う者がありながら」
百「ごめんダーリン!いまのナシ!」
食い入るように見る百を引き離しながらも、僕もその写真からは目が離せなかった。
天「社長は愛聖を解雇したって言ったんでしょ?でもここにはまだ、宣材写真が残ってる。変だと思わない?」
そう言われると確かに、と思う事はある。
龍「自分達はあんまりこういうの見ないから、なんか新鮮だな」
天「ちなみに龍のもあるけど?ほらコレ」
パッと切り替わった画面を再びみんなで覗き込む。
「「うわ···エロいなぁ···」」
龍「え?···えっ?!」
百「さすが、抱かれたい男No.2」
楽「実際の龍は、全然そんなんじゃねぇけどな」
宣材写真でエロさを強調って、八乙女プロダクションって···ちょっと変わってる?
「ま、とにかく。宣材写真が消されていないって言うのは、気になるね」
消し忘れる、なんて事はないだろうからね。