第5章 ヒカリの中へ
小「照れなくてもいいよ~、本当の事だから。それとも、僕の言葉が信じられない?」
『えっと···そういう返し方、ズルいです』
この···人たらしめ···
「愛聖、待ってたのは俺らも同じなんだけどな」
移籍先の社長とのやり取りを聞いてられず、間に割って入る。
『あ、ごめんなさい。お待たせしました』
そんだけかよ!
『天、さっきはありがとう···ちょっとビックリさせられたけど』
天「別に。お役に立てたなら」
「ありがとうって、抱えてっただけだろ?」
戻ってくるのは遅かったけどな。
『着替えるのに困って、天に背中のファスナー下ろして貰ったの。そしたら途中で噛んじゃって、直してもらってたら今度は私の髪が天シャツのボタンに絡まっちゃって···天から離れられなくなっちゃって迷惑かけちゃった』
···は?
つまり、ずっと天と密着してたって事か?
小「着替えの手伝いなら、遠慮なく僕を呼んでくれてもよかったのに」
『さすがに社長を呼ぶのはダメかな?って思って』
···天はいいのかよ?!
移籍先の社長なら、そりゃあ大人だし、責任者だし···変な気も起きないだろうけど。
天だって、その、アレだ···一応、男、だろ。
天「楽、考えてる事がダダ漏れてるけど。大丈夫、愛聖を相手に変な気なんて起きないから···まぁ、ちょっと危なかったけど···なんてね」
「はぁっ?!」
ちょっと危なかったけどってなんだよ?!
変な気起こしかけてんじゃねぇか!
『だからさっき、あんなこと』
天「愛聖」
愛聖が何かを言いかけて、すかさず天が指を立てながら、しぃー···と···
天「あんまり話すと、楽が爆発するから内緒だよ」
「爆発しねぇよ!俺を誰だと思ってんだ」
天「いつでもクールでカッコイイ···女性が選ぶ、抱かれたい男No.1の八乙女楽でしょ?」
『私は別に、抱かれなくてもいいけど?』
「黙って抱かれとけよ!···あ、いや、そうじゃなくて、あぁっ、くそっ!お前ら俺で遊ぶな!」
クスクスと笑う愛聖と、その周りで笑いを堪える3人をグルリと見回し、盛大なため息を吐いた。