第5章 ヒカリの中へ
楽「熱?お前、疲れたとか言ってたけど熱があったのか?···顔が熱い気がするけど、俺の気のせいか?」
楽に両頬を挟まれ、更に身動きが取れずに私ひとりアタフタしてしまう。
社長に視線を送って助けて貰おうとしても、ニコニコしながらこちらの様子を見守ってるばかりで···
っていうか!
この3人、社長がいてもお構いなしなの?!
それでも何とかして貰おうと社長に視線を送り続けていると、それにやっと気が付いた社長が笑い出した。
小「愛聖さんがこれ程までに翻弄するなんて初めて見たよ···さすが、TRIGGERと言うべきか」
『社長···笑い過ぎですから』
大きく肩を揺らして笑い続ける社長に言えば、他の3人はケロッとしていて。
天「ボクは別に何もしてないけど?」
いいえ、そんなことはありません。
龍「俺もこれと言って何も?弟達が熱出したりした時は、こうやって熱あるか見て来たし」
TRIGGERファンなら失神するレベルの行動!!
楽「だよな?龍は時々、俺らにもやろうとするし」
天「そうそう。龍は面倒見がいいからね」
いっそ2人共、龍にそれ···やられちゃって下さい。
『更に···疲れた気がするのは私だけでしょうか社長···』
顔を両手で覆いながら言えば、社長は私に···まぁまぁ、いいじゃないかと、また笑った。
楽「疲れたってなら、これちょうど良かったな。ほらよ」
顔を隠していた手を剥がされ、その上に小さな箱をそっと置かれる。
『この箱···って』
デジャヴ?とか思いつつ、私の横に置いたものを見ると、それはちゃんと置いた場所にあって。
楽「お前、それ好きだっただろ?疲れてんなら甘いもの食っとけよ」
『甘いもの···』
もしやと思ってフタを開けると、そこにはさっき見たばかりの物が収まっていて。
まさか楽が、同じ日に、同じタイミングで八乙女社長と同じものを買って来るとか···ビックリしちゃうよ。
小「おや?もしかしてその箱はさっき八乙女が置いてった物と同じでは?」
あぁ~っ!
しゃ、社長?!
それいま言っちゃダメなやつですから!!
楽「親父が?どういう事だ愛聖」
『あ~···えっと、ね···大好きなケーキがふたつも食べられる私は幸せだなぁ···みたいな』
天「なるほどね。楽、愛聖の横見て」