第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
万「よし、大丈夫。久々だから心配だったけど、これなら問題なし!」
買い物から帰って、何より先に手を付け始めたと思ったら···
「なぁ万理さん。それ作るならオレも手伝うぜ?っていうか、むしろオレの得意分野っつうか」
万「ん~?あぁ、いいのいいの。これは俺が全部仕上げるから」
「ふぅ~ん?ま、なんか手伝う事あったら言ってくれよ?分量計るとかならオレが手伝ってもいいだろ」
そう言っても、万理さんはニッコニコしながら大丈夫だよ、とか言って。
鼻歌まで歌い出す始末。
歌うのはいいけどよ、なぜその鼻歌がオレらの楽曲なのか···
ま、いいか?
なんかよく分かんねぇけど、万理さん楽しそうだしな。
それにしても、今日の夕飯···和食一色だな。
ブリ照りに、南瓜の煮付けに、肉じゃが···それからほうれん草のお浸し、筑前煮···玉ねぎと卵のかき玉汁。
万理さんは確か、愛聖の好きな物たくさん作っとけば···とか言ってたけど、量が多くねぇ?!
しかも普段の食事に比べたら相当な予算オーバーだぜ。
買い物したやつ、万理さんが全部払ってたけど。
いいのか、それで。
っていうか、万理さんって何気に愛聖の事になると行動早いっていうか?
···怪しい。
昔からの腐れ縁とか言ってたけど、それだけにしちゃ仲良過ぎだろ。
あ、でもアレか?
愛聖はひとりっ子で、鍵っ子で···母子家庭だったとか言ってたから、甘えられる存在が万理さんだったとか?
う~ん···そう考えると、まぁ、納得···?
小さい頃の一織みたいなもんか?
オレと一織もそこそこ歳が離れてっけど、万理さんと愛聖はオレら兄弟以上に歳が離れてっからなぁ。
ま、歳の離れた妹的存在?ってとこか?
例えば一織が弟じゃなくて妹だったら、オレも万理さんみたいな感じになってたのか?
···一織が一織過ぎて、イメージ湧かねぇ。
万「···くん?三月くんって」
「ん?あぁ、悪い、考え事してた」
やべぇ、料理中に考え事とか···
万「いや、考え事はいいんだけどさ?···お鍋、吹きあがりそう」
「おわっ!あっぶねぇ···はぁ、セーフ···」
慌てて火を弱めて大きく息を吐く。
そんなオレを見て、万理さんが笑った。