第5章 ヒカリの中へ
小「···って言いたいところだけど。実はね、既に···愛聖さんに仕事がひとつ、来てるんだよ」
仕事···?
『社長、だって私···今日移籍発表したばかりで、あっと···』
その会見だって、終わったばかりで。
仕事の取次とか、そういうのは全然···そもそも社長はずっとここにいたし、それに千との約束は社長にまだ話してないのに?
小「先方との打ち合わせがまだだから詳細はこれからで、全部が決まってから愛聖さんに話そうと思ってたけど···これだけは言っておくから心して聞いて?」
ニコニコと話していた社長が急に真剣な顔をして私を見る。
『こ···心してって言うのは?』
ま、さかとは思うけど。
その、四葉さんが言うところの、二階堂さんがよく見てるとか言う···怪しげな雑誌の···とか、じゃない···よね?
いやいやいや···まさか社長がそう言った類の仕事をイキナリ受けるとか、ない···よね??
···でも私は仕事を選べる立場でもないし。
小「恐らく、というか確実に···脱いで貰う」
『そうですか···脱いで···って、ええっ?!』
ぬ、脱ぐってまさか本当にそっち系のお仕事ですか?!
驚きのあまり手に持っていた洋菓子店の箱を落としそうになり、慌てて持ち直す。
う···ウソでしょ···?
確かに私はそういう仕事をしても問題はない年齢と言えばそうだけど!
で、でもイキナリそんな如何わしいお仕事とか···
『私に···出来るでしょうか···』
動揺の中から、ホンネがポツリと零れ出す。
小「どうして?僕は、愛聖さんなら申し分ないと思うから受けたんだけど?」
申し分ないって···露出···大丈夫かな···
これまで全く肌を晒して来なかった訳ではない。
けど、それは裸体ではなく···部分的なもので。
デコルテラインとか、胸元ギリギリとか···
胸元···っていうか、胸···私、そういうお仕事するのに、ボリューム感···大丈夫なんだろうか。
小「急に寡黙になったけど、どうかした?」
『社長···私···胸は、足りてますか?』
小「えっ?!む···胸、って?!」
『だから、その···サイズ感、とか···今からじゃ大きく出来ないし、とか』
ポツポツと話す私の前で、社長は黙って立ち尽くしていた。