第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「愛聖が倒れた?!」
「「 えっ?! 」」
会見が終わってテレビ中継の内容がワイドショーに切り替わり、じゃあ俺も事務所に戻るよ、なんて言ってた時の···社長からの電話で愛聖が倒れたと聞かされた。
小 ー すぐに意識は戻ってるんだけど、念の為もう少し休ませてから連れて帰ろうかと思ってるんだよね ー
「そう···ですか。それは良かったというか···」
出かける前は具合いが悪そうな感じとかなかったけど···
社長と一緒に大きく手を振りながら出掛けて行ったし。
小 ー 本人が言うには、久し振りに眩しさの中にいたら疲れたんだとは言ってたけど···多分、精神的にって事だと思う ー
「···でしょうね。何だかおかしな質問が多かったような気もしますし」
一連の流れは、俺も見てたから。
小 ー それでなんだけど、帰ったらなるべく早く休ませてあげたいからさ、もし···出来たら、だけど ー
「分かりました。ちょうど俺、いま寮にいるんです。だから三月くん達にもお願いして食事の用意をしておきます」
小 ー ありがとう万理くん。また帰る時には連絡するから···じゃ ー
通話を終えて、ひとつ息を吐く。
陸「あの、愛聖さんが倒れたって聞こえたけど」
「そうみたい。社長は精神的に疲れたって本人が言ってるとか言ってたけど···」
大「それにしたって、倒れるとか尋常じゃねぇな」
やっぱりみんなそう思うよな。
三「で、オレは何をすればいい?飯か?」
「あぁ、うん、まぁそうなんだけど···ちなみに今夜の夕飯の予定ってなんだった?」
三「今日?これから買い物行って考えようかと思ってたけど」
買い物はこれからか···うん、ならちょうどいいかな?
「三月くん、その買い物って俺も一緒に行っていい?」
三「ん?別にいいけど、何か買い物があんのか?」
「まぁね。愛聖の好きな物を作ってあげようと思ってさ」
食べる食べないは別として、好きな物がたくさん食卓に並んでたら···元気出るかもだし。
三「レシピ教えてくれたらオレも作るけど?」
「ん~···それは俺の企業秘密ってことで」
三「なんか怪しい···」
そのメニューの数々は、愛聖の思い出が詰まった物ばかりだから···内緒。