第5章 ヒカリの中へ
どうしてここで千の名前が?
どうしてこんな話に流れて行ったの?
この人は···何が知りたいの···?
ー その辺のお話をぜひ伺いたいんですが ー
なかなかコメントを発さない私に、更に言葉を被せてくる。
ガヤつき出す声の中には、Re:valeに熱愛発覚か?!とか、移籍会見で熱愛告白?!なんて声も混ざりだし、当事者達が何も言わない内からおかしな記事や報道をされても困ると思いマイクを手にした。
『あなたの言う深い付き合いと言うものに、どんな意味合いが含まれているのかは分かりません。ですが、いまお名前が出たRe:valeの千さんや、それから百さんのお2人は彼らがメジャーデビューする前の、言わばインディーズ時代から親交はありました』
千はずっと前から。
百ちゃんは、万理がいなくなって···少し経ってからだけど。
『その頃の私はまだまだ子供で、学校の宿題を見て貰ったりとか、それ以降もお互いに辛い事があったり、悩んだりしている時は励ましあったり支えあったりして、そう言った状況に置いては確かに心の繋がりと言うか、お互いを尊重し合う関係ではあります。それは当時も今も変わらない関係性であると思っています』
ー では、そういった関係であると認めるんですね? ー
『あくまでも、恋愛関係ではありません。お互いの仕事を認めあって、私にとっては良きアドバイザーであり大先輩でもある、と言う事です。お分かり頂けましたでしょうか?』
これ以上は話す事はない。
そう言った隠し言葉を含めて微笑めば、相手は苦めな顔を浮かべながらも腰を下ろした。
小「他にご質問はある方はいらっしゃいますか?」
小鳥遊社長が言うも、ざわめきが残るものの手を挙げる人はなく。
小「いらっしゃらない様ですので、これで移籍会見を終了させて頂きます。本日はお忙しい中でお集まり頂きましてありがとうございました」
両隣が席を立つ気配に自分も立ち上がる。
集まった皆さんに深々とお辞儀をして、ひとつ息を吐き歩き出した。
八「佐伯 愛聖。決して下を向くな、顔を上げたままで真っ直ぐ段を降りろ···分かったか」
分かったかって言われても、相変わらず足元はグラつきそうで精神統一しないとなのに。
だけど、そんな考えもすぐ消えた。
八「···小鳥遊がお前の後ろにいるからだ」