第1章 輝きの外側へ
❁❁❁ 百side ❁❁❁
ユキの家で今日で2回目か?という秘密の集まりの準備を手伝う。
マリーが急にいなくなって、龍から居場所を知らないかと連絡があって。
その時の、ユキの顔がずっと忘れられなくて。
あれは、バンさんの行方が分からなくなった時のユキの顔と···同じだったから。
少し前までは、いろんな局で見かけ合う度に楽屋にお互い出入りしてたのにさ。
ユキと最近マリーのこと見かけないよね?なんて話していた時の、そんな連絡。
まさか八乙女プロダクションをクビになっていただなんて思わなかったよ。
だって···
だってあんなに体当たりで監督やプロデューサーを唸らせるような演技が出来る子だったのに。
歌だって、自分が出てたドラマや映画のタイアップを数曲しか出してなかったけど上手かったじゃん?
それにさ、曲作りでナーバスになってるユキを宥めるのだって、オレより断然扱いが上手かったし!!
どこに行っちゃったんだろう、マリー···
あの日からずっと、ユキはマリーの話題を振ると不機嫌になるし。
不機嫌···?
もし今、マリーが見つかったらユキはどうするんだろう。
心配した!って、抱きしめる?
それとも。
心配かけるな!って、怒るの?
オレは前者、かな?
「なぁ、ユキ?」
これからやって来る三人の為にキッチンに入り浸ってるユキに、オープンカウンター越しに声を掛ける。
千「なに?僕はいま、これ以上にないくらい忙しいんだけど」
「で、ですよねぇ~」
うわ、まだなんも言ってないのにご機嫌低飛行。
ダーリン、怖いよ···
千「それで?そんな忙しい僕に、モモはなんの用?」
「あ、ううん、大丈夫!」
千「言って?じゃないと気になって怒るよ?」
いや既にもう怒ってんじゃん?!
千「言って、早く」
キラリと冷たく光る視線に負けて、おずおずと姿勢を正した。
「ユキ、はさ?もしいま、マリーの居場所が見つかったら···どうする?」
千「そうね······」
ダーリン、沈黙が長いよ??
千「···とりあえず、思いっきりひっぱたく」
「まさかの後者?!ジェントルなのに!」
千「後者?なにが?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
マリー、どうかいろいろ···無事でいて!