第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 龍之介side ❁❁❁
リハまでの時間、会見が中継されてるテレビをずっと見てる。
それこそ楽は、画面を食いつく勢いで見てるし。
天も興味なさそうな顔をしながらも、それでもソファーに凭れながら画面からは目を離さないでいる。
ー 今日は真っ白なドレスをお召しですが、それには何か意味があるんですか? ー
楽「コイツはバカなんじゃないか?そんな事を聞いてなんになるって言うんだ」
天「いいんじゃない?しばらく姿を見なかった八乙女プロダクションの女優が、急に移籍会見をします、白いドレス着てます、なぜですか?···そんな事しか質問出来ない出版社の行く末なんて、たかが知れてるでしょ」
「アハハ···キツイなぁ、天は。だけど見て?その質問に対して、うちの社長が愛聖に助け舟を出そうとしてる」
それは凄く、珍しい光景ではあるけど。
八 ー 逆に伺いますが、皆さんは “ 白 ” と聞いてどのようなイメージをお持ちですか? ー
···うちの社長が、あんまり偉そうじゃない。
っていうより、あれは外向きの対応なのか?
ー そうですね···白をイメージすると、穢れがないとか、花嫁さんなどはそういう感じでしょうか。あなた色に染まるという比喩は、よく使われますが··· ー
八 ー そうですか。所詮、その程度のイメージしかお持ちではない、と? ー
天「あ···あの社長の表情」
楽「だな···」
さっきまでの外向きの対応とは違い、手のひらを返した様にうちの社長が薄笑いを浮かべた。
八 ー 確かに白というカラーは、どんな色にでも染まる事が出来る。そう言った意味でも、ここにいる佐伯 愛聖はこれまでどんな役柄でも体当たりでこなして来たから、同じ意味合いだと言えましょう ー
ー では、他にどのような意味がおありなのか伺ってもよろしいでしょうか? ー
おっと···?
この人も負けん気が強いみたいだな···
八 ー 白というのは簡単に何色にでも変わる。しかし逆はどうか?どんな色にも溢れるほどの白を加えてもそれは白ではない。ここにいる佐伯 愛聖は、他の誰がなろうとしても代わりにはなれない一人だ···という事だ ー
「社長、カッコイイな」
楽「は?」
凛として言う社長に思わず漏らした俺の言葉に楽が言った。