第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 紡side ❁❁❁
寮のリビングで、皆さんと一緒に中継されている会見を見ているのだけど···なんかもう、ハラハラしちゃって落ち着かない。
小 ー そこは運命の人に巡り会ったから···とか言って欲しかったなぁ ー
大「そこで笑いを取らなくても」
···だ、そうですよ社長。
こんな感じのやり取りをしてるし。
ほら、愛聖さんだって返答に困って···
ー そうですね、小鳥遊社長はある意味···私の運命の人かも知れません ー
社長の変なジョークに惑わされることなく、愛聖さんは静かに答えを紡ぎ出していく。
それからいくつかメディアの人と言葉を交わした愛聖さんにマイクを置いた社長が何か声をかけて、それを見て愛聖さんが微笑んだ。
「キレイ···」
壮「そうだね···普段ここにいる時の感じとは、全然違う」
思わず呟いた私の言葉に、壮五さんが頷いた。
三「だな。ここにいる時はめちゃくちゃラフな格好で掃除したり買い物行ったりだからな」
大「しかも、ほぼノーメイクってヤツでな」
ナ「ノーメイクのマリーはとってもチャーミングですよ」
確かにナギさんの言う通り、普段からノーメイクに近い状態の愛聖さんを見てるけど、そこはやっぱり女優さんだなぁって思えるキレイさにうっとりしてる。
万「みんな愛聖を褒めすぎだって。でも···そうやって褒められてるのを間近で聞くと俺も嬉しいけどね」
陸「なんで万理さんが嬉しいの?」
万「えっ、アハハ···そこはほら、俺はやんちゃな小学生の頃から愛聖を知ってるからね」
環「バンちゃん、やんちゃって?」
万「あぁ、それはね······内緒」
環「そこまで言っといて内緒かよ」
大神さんは懐かしむような顔で笑いながら、それでも内緒は内緒だよ、と環さんに言った。
やんちゃな小学生だった愛聖さんっていうのが想像出来ないけど···
でもきっと、それでも可愛い小学生だったんだろうなぁ。
ほっこりとするような姿を想像していた時、メディア席から新しい質問が飛んでいた。
ー 今日は真っ白なドレスをお召しですが、それには何か意味があるんですか? ー
一「意図的に軽く悪意を感じる質問ですね」
一織さんが呟いて、私もそれに頷いた。