第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 百side ❁❁❁
「ユキ!早く早く!急いでってば!」
千「モモ···僕を置いて先に行ってくれ···」
「ユキを置き去りにして行けるワケないじゃん!」
雑誌の撮影の休憩時間が、ちょうどマリーの会見が始まる時間と重なったのを知って、ユキの手を引きながら廊下を駆け抜け控え室へと飛び込んだ。
「おかりんテレビつけて!早く!はい、ユキはもう座ってていいから!」
控え室で待機していたおかりんに叫びながら、イスを出してユキを座らせる。
岡「テレビって···あぁ、今朝言ってたアレですね?だったら既に見てますよ」
ほら?と言いながらおかりんが場所を開ければ、ちょうど会見会場へとマリーが姿を現した所だった。
岡「お綺麗ですよね、佐伯 愛聖さんって。あの八乙女プロダクションを抜ける事がもっと早く分かってたら、うちも引き抜きに力を入れたのになぁ」
それな!ホントそれ!
マリーが同じ事務所だったら···嬉し過ぎて仕事どころじゃないかも?!
毎日ハッピー!
千「モモ。考えてる事ダダ漏れしてる。僕を捨てて愛聖と逃避行でもするだなんて」
「そこまで考えてないよ!!」
岡「···夫婦漫才、終わりました?」
おかりんがメガネをクイッと上げて、1歩ずつゆっくりと歩いて行くマリーを見つめる。
おかりん···そんなに見つめたらオレのマリーに穴が開くから。
千「モモだけのじゃないからね」
···なんでバレた?!
千「顔がそう言ってる。オレのマリーなのに、おかりん見過ぎ、とか」
超絶バレバレじゃん!!
さすがオレのダーリン···とか、ユキにうっとりしながら画面に目を向ければ、ちょうど移籍先の社長と微笑み合うマリーが大きくクローズアップされてて。
ドレスアップしたマリーを、あんな風にさり気なく···ごく自然にエスコート出来るとか、正直羨ましい。
スベスベの肌に特別なメイクして、口元にはルージュが引かれてて。
そう言えば···って思い返すのもなんだけど。
オレ、この前ユキんちでお泊まり会した時、あの唇にキス、したんだよね···とか。
あの時のマリーはノーメイクだったけど、ジタバタしてるのがなんか可愛くって。
すっごい、キスしたくなっちゃったんだよな。