第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
「あれ···なんで万理さんがここに?」
愛聖と社長の移籍会見が始まる時間だからとリビングへ来れば、予想外の姿に思わず声を掛けた。
万「折角だから、みんなと一緒に中継を見ようかと思って。あ、仕事の事は大丈夫だからね?この時間の為にしっかり終わらせて来たから」
しっかり終わらせて来たって、まだ夕方にもなってないってのにか?
「それはそれは、超有能事務員さんですこと」
万「は~い、よく言われます」
意地悪口調で言ってみれば、営業スマイルでサラリと交わす万理さんは食えないヤツって感じで、ニコニコと笑顔を振りまいている。
環「ただいま!マリーのやつ、もう始まってる?!」
一「四葉さん!急ぎたいのは分かりますが靴は揃えて下さ···戻りました」
壮「お帰りなさい。もしかして2人とも走って帰って来たの?」
環「だって、今朝マリーと約束したから。ぜってぇ見るって」
一「わ···私は違いますよ!四葉さんが走って帰るって言うから、トレーニングのつもりで一緒に走っただけです」
三「はいはい、一織も中継が見たかったと」
一「違います!」
あ~···そういや高校生組が学校行く時に愛聖が見送りながらそんな話をしてたっけな。
タマはそういうトコ、素直っていうか。
それに比べてイチは···素直じゃないねぇ。
ナ「oh!ミナサン、お静かに···現場で動きがアリマシタよ?」
「ナギ。その真剣な顔で現場っていうと聞こえが良くないから、せめて会場って言ってくれ」
犯行現場かっての···
それにしても想像以上のメディアの数だな。
これがそもそもの愛聖がいた事務所の力ってやつか。
それとも···この穏やかな顔を崩さない有能事務員の働きぶりってやつなのか?
紡「皆さんこちらにいらしたんですね!」
マネージャーまで来たか。
軽く息を切らせながら、パタパタとみんなの輪の中に入って来ては画面に釘付けになる。
紡「間に合って良かった···お父さ、社長が今朝ウキウキしながら出掛けて行ったので気になっちゃって」
ウキウキ?
···なんか想像ついちゃうあたりが、なんとも言えない感じだけど。
陸「あ!···ドアが開いた!」
リクの言葉に、その場にいるみんなが一斉に画面に目を向けた。