第5章 ヒカリの中へ
一「まぁ、いいでしょう。柵は外しましたし、あとは佐伯さんの覚悟次第ですね」
か···覚悟···
下をそっと見れば、あの1番背が高い四葉さんの顔でさえ···私の下に見える···
三「覚悟って、なんの覚悟だ一織?」
環「マリーが怖くて降りれないって言って、いおりんが柵取った」
壮「環くん···説明が簡潔過ぎて伝わって来ないよ」
陸「怖くて降りれないって···この高さが?ぴょんって飛べばすぐじゃない?」
一「そんな事をして床が抜けたらどうするんです?」
『抜けませんよ!!』
一織さんのひと言に思わず叫ぶと、一織さんは私を見上げて···ニヒルな笑いを浮かべた。
一「では、降りられますね?」
うっ···それは···
ナ「イオリ。マリーに詰め寄ったら余計に怖いデース。ここはワタシが一役脱ぎマショウ!」
三「一役買うかひと肌脱ぐかどっちかにしとけ!」
ナ「hmm···脱ぎマショウ!OK?!」
三「脱ぐ方を選ぶな!!」
なんかナギさんと三月さんって···千と百ちゃんみたい···
ナ「では···さぁ、マリー、ワタシに捕まってクダサイ?」
『つ、捕まるってどうやってですか?!』
両手を広げて伸ばしてくれるも、それに手を伸ばそうと思えば自動的に下が見えてしまう。
こ···怖い。
一「万が一の時は私と逢坂さんが補助しますから」
壮「一織くん、その言い方だと余計に怖がらせてしまうよ。愛聖さん、絶対大丈夫だから」
環「つうか、そんなに下見るの怖かったら目瞑ってればいいじゃん」
···それだ!!
四葉さんの言葉通り、目を閉じて腕を伸ばせば···恐らくナギさんのだろう腕が私を支え···て···グイッと引き寄せられた。
『ひゃっ?!』
急に訪れる浮遊感におかしな悲鳴が口が飛び出した。
フワリとした感覚に思わず目を閉じたまま見えない誰かにしがみつく。
環「降りれたじゃん」
妙に近くで聞こえる四葉さんの声に驚き、目を開ける。
『四葉さん?!てっきりナギさんかと···』
壮「愛聖さんが目を閉じて勇気を出した時、環くんがナギくんと入れ替わったんだよ」
ナ「タマキ。ワタシがマリーと抱き合いたかったデース···」
抱き合うって···そんなんじゃ、ないんだけどな。