第5章 ヒカリの中へ
目は覚めているのにいつまでも降りようとしない私に一織さんが下に降りてくるように促す。
一「なにか不都合でも?」
『不都合というか···なんて言うか···』
だって、真下を見るの···怖いんだもん!
一織さんのベッドは、シンプルなデザインと言ってもロフトベッド···
下に降りるには備え付けのハシゴを降りなければいけなくて、そのハシゴを降りるには···一瞬でも真下を見るか、前向きに降りたとしても足元が見えずに高さの恐怖だけは残る···
怖すぎて···ムリ!!!
恐る恐るベッドの縁から下を見ては息を止める私を見て、四葉さんが笑い出す。
環「マリー、もしかして高いトコ怖いの?」
一「そうなんですか?高いとは言っても、怖がる程の高さではないと思いますけど」
『···アハハ。あの、一織さん。そもそも私って、ここにどうやって登ったんでしょうか···』
環「ヤマさんといおりんが2人で、だけど」
一「寝ているからと言って女性の部屋を開ける訳にはいきませんでしたし、逢坂さんが自分の部屋をと言われましたが、そこだと四葉さんが入り浸るのでは?と私の部屋に。女性が寝ている部屋に自由に出入りされても困りますから」
なるほど···それは一織さんらしい考えというか。
『お気遣い、ありがとうございます···』
一「いえ、当たり前のことですから。それで、降りる気はあるんですか?」
それはありますけど···と濁せば、一織さんがあからさまに息を吐いた。
一「仕方ありませんね、1度柵を外しましょう。それなら今よりも下に降ろしやすくなりますから」
ん?
降ろしやすくなりますってなに?!
環「あ~、寝かせる時みたいなやつか。じゃ俺、誰か呼んでくる」
誰か呼んでくる?!
一「そうですね、お願いします。私はその間に柵を取り外しておきますから」
やっぱり柵を外すの?!
なんか大掛かり過ぎませんか?!
···なんて言えるわけもなく。
ロフトベッドの簡易作を黙々と取り外していく一織さんを、ただ···黙って見ていた。
環「ヤマさんコンビニ行ってっから、とりあえずみんな連れて来た」
一「四葉さん?!人を呼ぶには人数が多過ぎませんか?!」
···私もそう思います···とも、言えず。
一織さんの部屋には二階堂さん以外のみんなが揃ってしまった。