• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第1章 輝きの外側へ


シャワーから出た万理が髪を乾かすのを眺めながら、私が最後に見た万理の姿と重ね合わせる。

随分と長く伸ばしたんだなぁ。

···それは、私も···千もだけど。

自分の髪を指で掬い、この先きっとヘアスタイルに拘らなくていいんだよねと、いっそバッサリ切り落としてしまおうかと考える。

どんな配役が来ても、雑誌撮影が来ても、臨機応変に出来るように髪は切るな。

八乙女社長から言われて伸ばし続けた、この髪。

もう、そんな心配は必要ないんだから。

『万理、私ってショートにしたら似合うかな?』

ドライヤーを片付ける万理に、後ろから声をかける。

万「そこまで伸ばしたのに切るのはもったいない気もするなぁ···せっかくキレイな髪なのに。もしかして、失恋でもした?」

『し、してないよ!』

変な方向に話題を向けられ、慌ててそれを訂正する。

そもそも恋愛御法度の世界にいたんだから、そんなのする訳ないし。

万「ま、愛聖ならロングでもショートでも似合うと思うよ。俺はどっちの愛聖も知ってるしね」

···いつから万理は人たらしになったんだろう。

疑惑の目でジッと見ると、万理はただ···笑っていた。

万「さて、と。明日も仕事だし、そろそろ寝ようか?って言っても、ベッドはひとつしかないから愛聖が使って?」

『万理は?』

万「俺?俺は平気。ここで寝るから」

ここで、って。

『ソファー?』

万「そう、このふかふかソファー君」

オレの相棒をよろしく~!とにこやかに言ってるけど、それはダメでしょ!!

『私がそっちで寝るから、万理が自分のベッドに寝て?万理はちゃんと働いてるんだし、私はほら···無職···だし?』

万「ダーメ。ちゃんといい睡眠しないと肌荒れしたり髪が痛むでしょ。それに、俺は慣れてるから平気」

『慣れててもダメ。疲れが取れなきゃ仕事でミスるよ?』

万「大丈夫!俺は有能事務員だから」

自分で有能とか···普通言わないでしょうよ。

『とにかく、私が居候なんだからソファーに寝る』

万「だからそれは···」

これじゃ場所取り合いのイタチごっこだよ···

じゃあ···最後の手段と行きますか···

『万理。お互い譲れないならさ、あいだを取って一緒にベッドで···ってのは、どう?』

万「な、何言ってんだよ」


/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp