第1章 輝きの外側へ
まぁ···千だし、位にしか考えてなかったし。
千だって、どうせ愛聖だし、位にしか思ってなかっただろうし。
···万理も、千も世の中に名前を広める前から知っていた人で。
と、いうか。
万理がひとり暮らししていた時の、まぁ正確には後半は千が万理の所に泊まり込みだったけど、その時の住まいのお隣さんが私の家だったから。
万理達は音楽の道へ。
私は···女優になりたい!とかいって、なんだかんだと万理達の所に遊びに行っては、発表前の曲を聴かせて貰ったりしてた。
歳はいくつか離れてはいたけど、学校が終わって隣に住む万理の部屋に遊びに行くのが毎日の楽しみで···万理達も嫌な顔ひとつせずに私を迎え入れてくれてた。
···あの日、までは。
もう少ししたらデビューが決まる。
このライヴが、記念になるんだ。
そう言っていた万理の···最後のライヴ。
夜中に、切羽詰まった声で千から電話が来て···ケガをした万理がいなくなったって聞いた。
どれだけ探しても万理は見つからなくて。
気がついたらお隣だった部屋も、空き部屋になっていて。
···千とも、段々と疎遠になって。
もう、Re:valeの歌は聴けなくなったんだって、泣いた。
それから暫くして、千から連絡があって。
万理とは違うメンバーでRe:valeを再結成したって聞いた。
初めのうちはどうしても新しいメンバーの百ちゃんを受け入れがたくて。
何度チケットを千から送られても、ライブハウスには足が向かなかった。
私の知ってるRe:valeは、万理と···千のRe:valeだから。
そんな考えがいつまでも溶けなくて。
いま思えば、子供···だったんだと思う。
だけどそんな時にフラリと百ちゃんが私の家の前で待ち伏せしてて。
一度でいいから、お願いだから千がまた歩き出した所を見て欲しいって、私を強引に千の待つライヴハウスへと引っ張って行って。
ステージの二人を見て、ここに万理がいたら···って思って、帰ろうとしてステージに背中を向けた瞬間。
千「愛聖、最後の曲は、これからのRe:valeのスタートになる曲だよ」
堂々とマイクを通して、千が私に言葉をくれて。
私は、新しいRe:valeのスタートを見届けてみたいって思って。
新曲を聞きながら、気付けば涙が溢れてた。